市指定文化財「十一面観音坐像懸仏(じゅういちめんかんのんざぞうかけぼとけ)」
【時期】南北朝時代~室町時代
【形態】長径(横)12.0cm、短径(縦)11.4cm、像高6.0cm
懸仏は御正体(みしょうたい)ともいい、鏡板と呼ばれる円形板に立体的に造られた神仏像を取り付け、懸けられるようにしたもので、お堂や社殿に懸けて礼拝された。神仏習合の信仰により生まれたとされ、鎌倉時代から室町時代にかけて盛んに造られた。しかし、明治初期の神仏分離と廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により、多くの懸仏が失われた。
この懸仏は、鋳銅(ちゅうどう)製の鏡面中央に一鋳された十一面観音坐像が配され、上方左右2か所に吊り金具がある。また、火中した痕跡がみられる。中世以降、菅原道真公が祀られるようになった天満宮では、十一面観音菩薩は天神様の本地仏(仏としての姿)とされた。所有する如意輪寺境内の天神社には、天神様と併せて菅原道真公が祀られている。如意輪寺への伝来は不明であるが、かつては堂宇の入り口に吊り下げて祀られていたと考えられる。