施政方針(令和8年第1回笠間市議会定例会) 令和8年2月25日
はじめに・市政を取り巻く状況
まもなく、市制施行から20周年を迎えるあたり、改めて、市政の発展に尽力された議会、市民、ならびに関係機関の皆様に、敬意と感謝を申し上げる次第であります。
令和8年度は、笠間市にとって、さらなる飛躍と発展に向けた、新たなステージへ踏み出す重要な年であると考えております。
はじめに、市政を取り巻く状況についてであります。
不安定な国際情勢や気候変動問題といった世界規模の課題に加え、国内では、円安や米国関税などの影響、長引く物価高、加速する人口減少、大都市への一極集中などが、地方都市に深刻な影響を及ぼしています。
高市総理は、特別国会の施政方針演説において、「責任ある積極財政」の考えのもと財政の持続可能性を重視しながら、戦略的な財政出動により、将来の成長につながる民間投資を促進し、投資と賃上げの好循環による「強い経済」を構築するとしています。
また、給付付き税額控除や、2年間の消費税率ゼロの検討を通じた手取りの増加策、脱炭素、事前防災、スマート農業、地域未来戦略、少子化対策、女性の健康支援、人材力の強化などに重点を置き、外国人との秩序ある共生、治安強化の取り組みとともに、成長と安全を両立させる社会の実現を目指すことなどが示されています。
これらの方針を踏まえ、本市のまちづくりの方向性と重なる施策については、国での議論や動向も注視しながら、積極的に検討・活用し、事業の推進につなげてまいります。
次に、人口動態についてであります。
国が公表した2024年10月現在の推計人口は、前年同月比で約89万人が減少し、過去最大の減少幅を記録しました。1月に発表された最新の人口推計においても、前年同月に比べて、60万人の減少となっています。
昨年の日本全体の出生数は、前年比3.0%の減となる、約66万5千人と見込まれ2年連続で70万人を割り込むなど、将来推計を上回るスピードで、人口減少と少子化が進展しています。
本市においては、令和7年(1月~12月)の出生数が304人となり、9年ぶりに増加に転じたところです。社会動態においても、225人の増加となり、令和4年から転入者数が転出者数を上回る、転入超過の傾向が継続しております。
一貫して進めてきた子育て支援をはじめ、教育、保健・福祉、都市基盤などの、総合的な対策の効果が現れてきているものと考えております。引き続き、施策の強化・充実を図ってまいります。
一方で、令和7年末現在、75歳以上の後期高齢者は本市人口の約2割を占め、独居高齢者や高齢者のみ世帯の増加とともに、特に身寄りのない高齢者が増加してきています。このような状況を踏まえ、生活環境や防犯対策、人生の終活支援など、安心安全な暮らしにつながる取り組みを進めてまいります。
また、人材確保はあらゆる分野で深刻化し、行政においても、これまでの手法や事業そのもののを見直す、変革が必要となります。デジタル技術の活用強化をはじめ、様々な分野において、公民連携や民間人材・手法の活用などを通じて、新たな可能性を検討し、積極的に推進してまいります。
県立病院の統合による新たな拠点病院の整備については、今年度末の基本構想の策定に向け、昨年9月に発足した県の検討委員会において議論が進められております。
本市の地域医療がより充実するよう、引き続き県に対し、必要な提案や要望を行うとともに、市民への情報提供に努めてまいります。
令和8年度予算の概要
まず、今後の財政状況の見通しでは、給与関係経費や社会保障関係費の増、物価高騰や労務費の上昇に伴う物件費や工事費の増に加え、デジタル化に関する経費の増などが見込まれ、厳しい財政状況が想定されます。一方、歳入においては、賃上げにより堅調な市税のほか、普通交付税においても物価上昇分が織り込まれ、物価や賃金の上昇が予算にも反映されるなど、これまでのデフレ、コストカット型の予算から、安定的な物価上昇と賃金が上昇する、成長型の予算への分岐点となっております。
令和8年度の予算編成については、持続可能なまちづくりに向けて、人材力の強化や複数の課題に対する解決手法などが必要となっております。一方で、財源配分の適正化を図るため、枠配分方式を導入し、継続事業においても、そのあり方を大胆に見直したうえで、こども・子育て支援など、市の重点課題を積極的に推進することを方針として予算編成を進めました。
歳入では、市税における、市民税の所得割や固定資産税の増を見込み、市税全体で、前年度比3.9パーセントの増としております。
地方交付税については、国の地方財政計画における交付税の総額が、増となる見込みから、前年度比3.1パーセントの増としております。
そのほか、国の税制改正に伴う特例交付金への振り替えや、小学校の給食費無償化に伴う給食費負担軽減交付金を、新たに計上しております。
歳出については、人件費が前年度比6.2パーセントの増、物件費が前年度比1.4パーセントの減、扶助費が前年度比3.3パーセントの増などのほか、市の重点プロジェクトの実現に必要な予算を計上しております。
その結果、令和8年度一般会計の予算総額は、358億3千万円となり、前年度比5億5千万円、率にして1.6パーセントの増となります。
特別会計については、国民健康保険特別会計をはじめとする4会計で、予算総額169億3千600万円であります。
企業会計については、病院事業会計をはじめとする4会計で、予算総額81億8千7万2千円であります。
一般会計および特別会計、企業会計を合わせた、令和8年度の予算総額は、609億4千607万2千円となり、前年度比6億8千830万5千円、率にして1.1パーセントの増となります。
令和8年度の重点プロジェクト
次に、令和8年度の重点プロジェクトの概要について申し上げます。
「未来に向けた笠間市づくり」を重点課題として設定し、暮らしの前提となる安心と安全の確保を図りながら、「変化に強く未来が期待できる笠間市」の構築に向け、「未来に向けた笠間市の形成」、「若者・子育て・笠間暮らしの向上」、「地域を支える強い産業育成と支援」の3点を、重点プロジェクトとして推進してまいります。
1.未来に向けた笠間市の形成
まず、「未来に向けた笠間市の形成」では、合併後21年目を迎えた中で、「文化交流都市かさま」を将来像とした取組みを推進してきましたが、令和8年度は、現状と将来に向けた新しい指針づくり、DX化の推進を含めた行財政改革の断行、さらには持続的な財政運営と地域の活性化に資する、公共施設等の今後のあり方を示す方針の策定などを進めてまいります。
2.若者・子育て・笠間暮らしの向上
次に、「若者・子育て・笠間暮らしの向上」では、保育料や小学校給食費の完全無償化をはじめとする経済面での支援、5歳児の健康診査、子どもの居場所づくり、教育の充実・強化、産科誘致に向けた調査など、保健・福祉・教育を中心に、全分野が一体となった日本一の子育て都市づくりを推進してまいります。
同時に、大学・高校の教育機関との連携をはじめ、これからの時代の中心となる、若者の育成や活躍の場の確保策を展開するとともに、毎日の暮らしで不安を与える要素となる、空き家の管理と活用の強化、防災・減災力の強化に向けた、常備消防などの体制の強靭化にも取り組んでまいります。
3.地域を支える強い産業育成と支援
次に、「地域を支える強い産業育成と支援」では、地域のエンジンとなる工業団地などへの企業誘致のほか、起業や創業の誘導と支援を強力に進めてまいります。
また、栗、米、花きなどの地域を代表する農産物のさらなるブランディングや、スマート農業の推進、稼ぐ観光産業の育成を進めながら、目下の最大の課題である人材不足の解決、育成と即戦力の確保の双方の実現に向け、関係人口も含めた確保策を展開してまいります。
主要施策の概要
次に、令和8年度の主要施策についてであります。
1.都市基盤の機能向上
まず、都市基盤の機能向上についてであります。
令和8年度からの新たな「第1次国土強靭化実施中期計画」を基に、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策を強化するとともに、予防保全型の維持管理と更新費用の抑制への転換に向けた老朽化対策を加速させてまいります。
災害・緊急時の対応強化や市内の交通渋滞緩和を目的とした「笠間パーキングエリア スマートインターチェンジ」の整備については、早期の供用開始を目標に、事業を推進してまいります。
災害時の輸送経路確保を目的とした無電柱化事業については、国道50号や県道平友部停車場線での事業促進を図るとともに、新たに、県道友部内原線(中央病院通り)や市道(友)1級13号線(市役所前から筑波銀行までの区間)において、事業に着手してまいります。
交通混雑の緩和や通勤通学時の移動円滑化に向けて、整備を進めている(仮称)鯉淵南友部線については、地元説明会を開催し、用地測量等の事業を推進してまいります。
生活道路については、各行政区からの要望をもとに優先度を判断し、計画的な整備を進めながら、さらに、関係機関と連携して通学路の安全点検を実施し、児童の安全確保を講じた歩道整備に取り組んでまいります。
また、近年の局地的な大雨による道路冠水や浸水被害を未然に防止するため、市街化が進む旭町地区を中心に、道路排水等の施設整備計画を策定してまいります。
市民の憩いの場となる都市公園については、トイレのバリアフリー化などの施設の更新を進めるとともに、適正配置計画に基づき、市内の公園や緑地の再編・集約化を進め、持続可能で地域に根差した空間づくりを目指します。
笠間芸術の森公園においては、スケートパークに続く、新たなアーバンスポーツの拠点として、次のオリンピック新種目に採用された「オブスタクルスポーツ」の施設整備に、県と一体となって取り組んでまいります。多様なアーバンスポーツを楽しむことができる空間の創出とともに、「スポーツシティかさま」のブランディング強化につなげてまいります。
稲荷神社周辺における拠点整備については、井筒屋から大石邸跡までをつなぐ遊歩道等の整備を進め、回遊性を高めてまいります。遊歩道の一部には、歴史的な価値のある人車運行に向けた軌道を設置し、にぎわいの創出を図ってまいります。
市民生活を支える重要インフラである水道事業については、将来の持続的な安定供給に向けて、広域連携による経営の一体化の枠組みに参加し、水道施設の効率的運用、経営面でのスケールメリットの創出などの議論を深めてまいります。
あわせて、経年劣化が進む老朽管については、AIを活用した管路の劣化診断や耐震性のある水道管への布設替えを順次、進めてまいります。
下水道事業についても、ストックマネジメント計画に基づき、経年劣化が進む処理施設や下水管路の計画的な更新を進めるとともに、合併処理浄化槽の設置補助対象を拡大し、下水道未整備区域における企業立地の促進と、公共用水域の水質保全に努めてまいります。
2.安心・安全を高める防災・防犯の強化
次に、安心安全を高める防災・防犯の強化についてであります。
防災対策においては、大規模地震や自然災害への備えとして、引き続き、拠点避難所への空調設備の設置を優先的に進め、避難環境の向上を図ってまいります。令和8年度は、市民体育館への設置工事を進めてまいります。
全国各地での大規模な林野火災の発生を踏まえ、今年1月に施行した改正条例に基づき、警報等の適切な運用と、発令時における火気使用制限の周知徹底を図り、発生リスクの低減に努めてまいります。
消防団においては、審議会からの答申を踏まえ、分団員の負担軽減を図るとともに、段階的に分団の統合再編を進めてまいります。あわせて、消防団OBを活用した「機能別消防団員」制度を導入し、平日昼間の火災対応力の確保を図ってまいります。
次に防犯対策であります。
令和7年における市内の刑法犯罪認知件数は474件発生しており、令和6年より、総件数は減少したものの、乗りもの盗や住宅侵入窃盗などの件数は増加しています。
こうした状況を踏まえ、市内主要箇所への防犯カメラを増設するとともに、民間事業者と連携し、市内の住宅団地をモデル地区として、地域ぐるみで防犯意識を高める、安心コミュニティモデル事業を進めてまいります。
年々増加する空家への対策については、令和8年度に全棟調査を行い、市内空家の状況を把握するほか、住環境に悪影響を及ぼす、管理不全の空き家については、重点的に、所有者等に対する指導を強化し、特定空き家指定への対策のスピード化を図ってまいります。
また、市内で発生する廃棄物や不適正残土等のゲリラ的な投棄、無届けや無許可の違法ヤードについても、不法行為の未然防止に向け、監視カメラの設置や巡回、監視活動等を一層強化し、関係機関と連携して、是正に取り組んでまいります。
3.脱炭素社会の実現・循環型の地域づくり
次に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みについては、
省エネ性能の高い電気製品への買い換えや、住宅用太陽光発電設備等の導入費用の補助を、引き続き実施し、市民の環境意識を高めてまいります。
また、市の事業により創出された環境価値のクレジット化などを、公民連携により推進し、脱炭素社会の早期実現を目指してまいります。
さらに、本年2月に、国の脱炭素先行地域の選定を受け、事業計画に基づく、再エネ設備による電力供給をはじめ、産業資源やエネルギー資源の地産地消による生活環境の改善、地域産業の持続性の向上を図ってまいります。
循環型の地域づくりについては、環境センターの老朽化対策をはじめ、循環型社会の形成に向けた取り組みの強化など、様々な課題が顕在化しています。
令和8年度は、ごみ処理の拠点となる環境センターの延命化に向けた調査・検討をさらに深めるとともに、ペットボトルの水平リサイクルや廃食用油のSAF化に向けた回収、新たな分別区分の検討など、持続可能なごみ処理体制の再構築に向けて、方針を検討してまいります。
4.企業誘致の推進・立地促進の強化
次に、企業誘致の推進および立地促進の強化であります。
市内の企業立地状況については、茨城中央工業団地(笠間地区)において、昨年、建設機械の組み立て工場1社が操業を開始し、4月からは、食品製造企業1社が工場建設に着手するなど、これまでに12社の製造、物流企業が操業しております。
団地周辺においても、新たに物流企業が建設を予定しており、県内の好調な企業立地にけん引されるように、企業進出による、雇用や税収面での相乗効果が期待されるところであります。
引き続き、茨城中央工業団地(笠間地区)の残りの区画約18ヘクタールの企業誘致をはじめ、旧畜産試験場跡地への誘致促進を図ってまいります。
昨年、物流企業1社の立地が決定した安居工業地域においても、今年度末に幹線道路の整備が完了することから、今後、早期の立地に向けて、誘致活動を加速させてまいります。
5.切れ目のないこども・子育て支援と強化
次に、切れ目のないこども・子育て支援と強化についてであります。
引き続き、妊娠前から出産、育児、小学校就学から大学進学までの、人生のライフステージに合わせて、きめ細やかな給付や支援に取り組むとともに、令和8年度から、すべての利用者を対象とした、保育料の完全無償化を実現してまいります。
令和6年度から導入している「こども誰でも通園事業」については、昨年から友部、岩間地区の民間施設においても事業を開始し、市内全域で利用可能となるなど、徹底した子育て支援の強化に取り組んでまいります。
こどもの成育過程において、言語の理解能力や社会性が高まり、その後の成長・発達に影響を及ぼす時期と言われている、5歳児の健康診査については、これまでの訪問による発達相談に変えて、令和8年度から、集団による健康診査を実施してまいります。
少子化への取り組みとして、出会いを望む方を対象に、アドバイザーによる相談体制の構築や、専用の公式LINEによる情報の提供、相談所や婚活アプリなどの登録費用や利用料に対する助成、イベント開催による出会いの場の創出など、パートナーづくりに対するサポート事業に取り組んでまいります。
6.多様化する健康・福祉ニーズへの支援
次に、多様化する健康・福祉ニーズへの支援についてであります。
市民の方が自分の健康は自分で守る意識を高め、自ら健康づくりに取り組めるよう、健康づくり計画(後期)の策定に取り組むとともに、県立中央病院や笠間市医師会と連携し、特に腎機能が低下している方に対して、医療機関の受診勧奨を強化してまいります。
市立病院での平日夜間及び日曜日の初期救急診療については、現在の診療体制を継続しながら、小児の受入体制の充実を図るため、令和8年度から、15歳以下の小児に対する、スマートフォンアプリを活用した医療相談、およびオンライン診療を導入してまいります。
また、適正な医療体制を確保するため、周産期医療を担っていた産婦人科医院が分娩の取扱を中止したことによる影響等を調査し、産科誘致についての検討を進めてまいります。
単身世帯の増加等に伴い、深刻化する孤独・孤立(ひきこもり)問題については、保健・医療・福祉の専門機関で組織する協議会を設置し、分野横断的に支援をしてまいります。ひきこもり児童への取り組みでは、eスポーツ教室の開催などによる、多角的なアプローチを展開してまいります。
障がい者福祉においては、緊急時の一時的な宿泊機能の提供とともに、基幹相談支援センターを中心に地域の障害者支援機関が連携し、障がいを持つ方が安心して日常生活を営むことができるよう支援してまいります。
高齢者福祉については、昨年から、身寄りのない高齢者の方や、将来に不安を抱える方などが、安心して人生の終末を迎えるための支援として、「かさま安心サポート事業」を開始したところです。相談件数も徐々に増加し、契約に結び付くケースも出てきておりますので、さらに寄り添った支援の充実を図ってまいります。
現在認知症の高齢者が増加傾向にあります。早期発見、早期対応につなげるための取り組みとして、認知症サポーター養成講座の推進や、デジタルツールを活用した、市内医療機関との連携を充実させてまいります。
7.地域産業の強化
次に、地域産業の強化についてであります。
まず、農業分野においては、新たに、スマート農業に積極的に取り組む事業者を対象として、自動運転による機械や施設の導入を支援し、生産性の高い供給体制の確立と、農業経営の安定化につなげてまいります。特に、農地の大区画化に向けて土地改良事業を進めている、石井来栖稲田地区や大渕地区、南友部大田町地区を推進地区として、支援してまいります。
また、近年、温暖化や異常気象に伴う、農産物の品質低下が顕在化しており、有機農業をはじめとする、環境負荷を低減する環境にやさしい農業への取り組みが高まってきています。
昨年は、市の農業公社において、県内初となる栗の有機JAS認証を取得したところであり、引き続き、水稲の有機栽培に対する支援や、学校給食への有機農産物の提供などを進めるとともに、オーガニック農産物などの高付加価値化による、生産者の所得向上に向けた取り組みを進めてまいります。
農地の集約化と営農条件の改善に向けて、市内5地区で事業を進めている土地改良事業についても、関係機関と連携しながら、事業を推進してまいります。
「笠間の栗」ブランドの推進においては、首都圏中心から全国的へとPRを強化し、新たな販路拡大を進めてまいります。また、生産性を高めるための剪定講習会による技術向上や、剪定枝のチップ化などの取り組みをはじめ、生栗のブランド認証制度、コールドチェーンによる流通、販売など、栗の品質向上を図り、さらなるブランド強化による、関係者の所得向上を目指してまいります。
林業分野においても、引き続き、森林環境譲与税を活用し、市産木材の利用促進のための補助や森林経営管理制度に基づく現地調査、民有林における間伐などの森林整備を実施してまいります。
商工分野においては、市内の中小企業や小規模事業者を中心に、後継者や人手不足、物価高騰の影響などに起因する事業縮小や廃業などが顕在化してきています。
地域経済を持続可能なものとするため、創業や起業をする方への支援を進めてきましたが、令和8年度から、指定区域における支援の拡充や、空き店舗を活用した支援を強化し、創業しやすい環境づくりによる、商業の振興と地域経済の活性化を図ってまいります。
昨年開設した外国人材支援センターでは、外国人材の雇用を希望する中小企業等に向けた、異文化理解を促進するためのセミナーや、外国人を対象とした日本語教室を開催し、コミュニケーション力の向上とともに、受入れ体制の強化と地域での定着を促してまいります。
また、市内に事業所を有する中小企業等に向けて、外国人材に関する情報提供や支援体制の強化、外国人材の受け入れ費用の一部助成など、外国人材を適切に活用できるようサポートしてまいります。
このほか、地場産業である笠間焼や稲田石の活用促進のための補助などに取り組んでまいります。
観光分野においては、本年4月から、現行の観光周遊バスに、新たにEVバスを追加し、道の駅かさまを中心とした、2ルートによる運行を開始し、ゲートウェイとしてのさらなる機能強化と市内観光拠点への回遊性向上を図ってまいります。また、乗り降り自由とする1日乗車券や、キャッシュレス決済をあわせて導入し、利便性を向上してまいります。
令和6年度における市内への観光誘客の実績では、把握できる国内ツアーでは59ツアー、インバウンドツアーでは41のツアーが催行され、外国大型クルーズ船による寄港地バスツアーなどを含めて、国内外から年間約313万人のご来訪をいただいたところです。
令和8年度は、新たに、県が重点市場とする、韓国からの誘客促進を図るとともに、オンライン上で旅行商品を取り扱う旅行代理店(OTA事業者)の積極的な活用など、笠間の魅力発信を通じて、観光先として選ばれるための取り組みを進めてまいります。
8.教育環境の充実・歴史文化・スポーツの振興
次に、教育環境の充実、歴史文化・スポーツの振興についてであります。
令和7年度における市内の児童生徒数が、初めて5千人を下回り、さらに6年後の令和13年度には、現在の8割を切る、約3千800人と推計されています。
昨年3月に、最適な学校規模や教育環境について検討を重ねた、学区審議会からの答申が示されたところであり、令和8年度には、「第2期笠間市立学校適正規模・適正配置実施計画」の策定に向けて、意見交換会やパブリックコメントなどを通じ、広く市民の皆様のご意見を伺いながら、将来の再編の在り方や具体的な手法などをまとめてまいります。
また、施設整備については、拠点避難所に指定されている、稲田中学校および友部第二中学校体育館への空調設備の設置や、岩間中学校および大原小学校の校舎内照明のLED化などを進め、教育環境のさらなる充実を図ってまいります。
6年目を迎えたGIGAスクールについては、本年2月に、県内初となる「フルクラウド型の校務システム」を導入したところであり、今後は、積極的にAIを授業に取り入れ、児童生徒一人ひとりの個性に合わせた「個別最適な学び」の充実と、教職員の業務負担軽減等による勤務環境の改善を図ってまいります。
学校給食については、この4月から国の施策による、小学校給食費の無償化が予定されており、中学校については、市独自で第3子以降の無償化を継続してまいります。
また、オーガニック給食をはじめ、市内の有機農産物による地産地消を推進し、給食の質の向上と安定的な提供に努めてまいります。
歴史文化と芸術の振興においては、
今年、生誕から150年を迎えた木村武山について、自身が建立した、国の登録有形文化財である大日堂内の仏画公開や、県内外で開催される企画展などの機会をとらえて、武山の偉業に触れるとともに、認知向上を図ってまいります。
笠間城跡の保存整備事業については、10年にわたる調査の成果をまとめた報告書の刊行や、フォーラムなどの開催を通して、笠間城の歴史的価値や認知度を高めながら、令和9年度の国の史跡指定を目指してまいります。
スポーツの振興においては、笠間スポーツコミッションを中心に、スケートボードやBMX、ブレイキンなどの、アーバンスポーツの魅力向上につながる大会の開催や、スポーツツーリズムを通じた交流人口の創出、多くの世代が関心を持てるスポーツの普及啓発、台湾やエチオピアとのスポーツによる国際交流など、まち全体で、スポーツシティかさまを推進してまいります。
9.行政区・地域コミュニティ
次に、行政区・地域コミュニティについてであります。
市と地域とをつなぐ行政区においては、防犯灯の管理費用の補助や、広報かさまスマホ版を活用した実証事業など、行政区における事務や運営費の負担軽減を図ってまいりました。
回覧文書の電子化については、これまでに34の行政区で実証に参加し、うち15の地区では電子化が継続されています。引き続き、行政区に対する回覧の電子化を促し、定着につなげてまいります。
行政区所有の防犯灯については、令和8年度から2カ年を目途に、市への帰属による一括管理へと変更し、新しい設置基準のもと、行政区運営のさらなる負担軽減を図ってまいります。
10.行政改革と自治体運営
次に、行政改革と自治体運営についてであります。
まず、市役所業務のデジタル化については、これまでに500以上の事務手続きについて、24時間対応可能なオンライン申請の導入や、スマートフォンのSMS(ショートメールサービス)を活用した迅速な伝達、「広報かさまスマホ版」をはじめ、かさメールやLINEなどを活用した情報発信など、デジタル技術を活用し、市民サービスの向上に取り組んでまいりました。
今年から住民記録や税、福祉事務などが、国の標準準拠システムへ移行したことにより、今後は、申請手続きの簡略化など、窓口業務の改革を進め、さらなる利便性の向上に努めてまいります。
財政運営においては、ふるさとづくり寄附金を活用した自主財源の確保として、栗、梨、米などの人気の返礼品の充実に加え、イベントなどで本市に来訪する方を対象とした「現地決済型ふるさと納税」の拡充などにより、寄付額の増加を目指すとともに、返礼品開発による地場産業の活性化や、寄附者を通じた関係人口の創出など、地域への還元につなげてまいります。
開設から8年目を迎える台湾交流事務所については、台湾の行政・教育機関や団体、民間企業などとこれまで培ってきた交流は継続、深化させながら、民間企業と連携して、産業分野での新たな経済交流を進めるとともに、事務所の移転や人員の見直しにより、運営の効率化を図ってまいります。
以上、令和8年度の市政運営にあたり、所信の一端と主要施策の概要を述べさせていただきました。
おわりに
笠間市の誕生から20年が経過し、社会環境が大きく変化する中にあっても、これまで紡いできた「歴史」、受け継がれてきた「伝統と文化」、守り続けてきた「自然と資源」、そして育まれてきた「地域と人財」を、未来へ継承し、次の世代からも選ばれ続ける笠間市を目指して、まちづくりへの挑戦を続けてまいります。
市民ならびに議員各位のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
問い合わせ先
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