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施政方針(平成31年第1回笠間市議会定例会) 平成31年2月27日

はじめに

本年4月30日に平成という時代が幕を下ろします。
今月24日には、政府主催の「天皇陛下御在位30年記念式典」が挙行されました。謹んで、心からお祝い申し上げます。

平成という時代には東日本大震災をはじめ、大きな自然災害もございました。
また、世界でも類を見ないほどの速さで進む人口減少と少子高齢化など、我が国における大きな転換期とも言える時代でありました。
このような急激な人口減少・少子高齢化の進展により、地方においては、地域コミュニティの存続危機、若者の減少による地域産業の担い手や、後継者の不足などといったこれまで経験しなかった新たな課題も生まれております。
しかし、いつの時代にあっても、日本人は力を合わせ、知恵を絞って、互いに支えあい困難を乗り越えてまいりました。

一方で、平成という時代は、科学技術の目覚ましい成長、インフラ・物流等の飛躍的な発展により、我々の暮らしは豊かになりました。特に、情報通信技術の革新は目覚ましく、今ではどこに居てもスマートフォンを活用し、欲しいものを手に入れることができます。
平成が始まった頃には夢と思われていたことが、この30年ほどの間で当たり前のこととして存在しています。

昨年、平町に在住する書道家の米川香庵先生から、市内の小中学校、子ども園等に書の寄贈をいただき、その中の一つの作品が市長室の前に飾られています。その作品は中国最古の書体で、力強く「夢」という字が書かれております。

平成という時代は、まさに「夢」という言葉の持つ明るさ、人が夢を叶えようと思う気持ちの強さ、そして、夢を叶えるために発揮する力の素晴らしさを感じることができた時代であったと思います。

今、市政の舵取りを担う我々の使命は、次の世代に負の遺産を残さず、「夢」を実現させるための基盤づくりを進めることです。
これまでの慣行、既存の概念などにとらわれず、真に必要とされる政策に財源を充ててまいります。

子どもから若者、高齢者、そして、外国人、LGBTなど、世代、人種、性別にかかわらず、「自分の持つ能力を発揮できるまち」を目指し、地域の様々な力を集結しながら、新たな時代に向けた取り組みを進めてまいります。

予算編成方針及び重要事務事業

歳入については、経済状況の好転や償却資産等の増加により、市税全体では増収となる見込みであります。

地方交付税については、地方財政計画における地方交付税総額が若干の増となっておりますが、合併特例加算の段階的削減や、市税の伸び等のこれまでの実績を踏まえ、前年同額で見込んでおります。

歳出について、障害者自立支援給付など社会保障関係経費や公債費の増加を見込んでおります。また、公共施設の維持・更新等に多額の経費が必要となってくることから、財政状況は依然として厳しい状況となっています。

このようなことから、予算編成の基本的な考え方として、限られた貴重な財源を有効活用するため、必要性が高い事業に重点を置いた予算とすることを掲げ、「ライフステージに応じた笠間暮らしの構築」を重点課題として設定し、笠間市第2次総合計画と笠間市創生総合戦略に即した75事業を重要事務事業としました。

また、効率的で実効性の高い行政運営のため、25事業の廃止・統合、27事業の見直し、6事業の外部委託など、ビルド・アンド・スクラップを図りながら、様々な課題に対する新たな取組みを積極的に進めることとしました。

これらの結果、平成31年度の一般会計予算は、総額307億7千万円で、前年度と比較しますと、12億2千万円、率にして4.1%の増となります。

特別会計予算については、国民健康保険特別会計をはじめとする5会計で、予算総額は158億1,100万円であります。
また、企業会計予算については、病院事業会計をはじめとする4会計で、予算総額は73億4,292万5千円であります。
なお、一般会計予算、特別会計予算及び企業会計予算を合わせた本市の平成31年度の予算総額は539億2,392万5千円で、今年度と比較すると13億994万9千円、率にして2.5%の増となります。

主要施策の概要

1.都市基盤の整備

人口の急激な減少と少子高齢化が進む社会において、将来にわたり持続可能なまちをつくることが大きな課題となっています。このことから、土地利用構想の中で「集めるための土地利用」、「つなぐための土地利用」、「魅力を高めるための土地利用」の3つの土地利用方針を掲げており、都市機能の集約と連携による都市づくり、いわゆる「コンパクト・プラス・ネットワーク」の都市構造を目指す立地適正化計画を策定してまいります。また、魅力あるまちづくりのため、地域の景観保全と景観まちづくりを推進する景観計画の策定を進めてまいります。

  • 道路の無電柱化

良好な景観保持や災害時の倒壊防止を目的に進めている道路の無電柱化については、友部駅前から筑波銀行交差点までの区間において、県事業として現地測量などを進めてまいりました。引き続き、来年度は詳細設計を実施する予定となっています。

  • 「道の駅」の整備

地域の新鮮な農産物が買える直売所や、24時間営業のコンビニを併設した施設として、2021年秋のオープンを目標に整備を進めております。今後は、基本構想・基本計画を踏まえた各設計業務、用地買収、駐車場の造成工事などを実施してまいります。

  • 畜産試験場跡地

北西側の約3.1ヘクタールを市民の憩いの場となる多目的広場として活用するため、実施設計や進入路の整備など供用開始に向けた取組みを進めてまいります。

  • 安居地域

常磐高速道路の岩間インターチェンジに隣接する安居地域において、交通の利便性を生かした企業誘致や土地利用を促進するため、道路や排水施設などの基盤整備を進めてまいります。地権者会の設立、基盤整備に向けた設計及び測量などを実施します。

  • 空家政策

昨年、県内初となる不在者財産管理人制度や、老朽危険空家に対する行政代執行などの先進的な取組みを実施してまいりました。また、利活用促進においても、「空家・空地バンク」の成約件数が1月末時点で75件と県内トップであります。平成31年度は、空家政策部門を都市計画課内に異動させ、立地適正化計画の策定と合わせ、空家の発生抑制とストックの有効活用を図るための更なる取組を進めてまいります。

  • デマンドタクシーかさま

運行上の課題の一つであった乗継の解消と待ち時間の解消のためのエリアの見直しを行い、昨年から試験運行を実施してまいりましたが、平成31年度中の本格導入を目指してまいります。また、土曜日運行やエリアの見直しなどに伴い、今後の運行コストの増加も見込まれることから、これまで行ってこなかった乗車料金の見直しの検討も進めてまいります。

  • 道路等のインフラ整備

これまで整備を進めてまいりました国道355号笠間バイパスについては、茨城国体開催前に全線供用開始される予定であります。
一般県道平友部停車場線は、JR常磐線の跨線橋からこころの医療センターまでを県事業として整備しており、今年度末までにその約6割の区間が終了する見込みで、残りの区間についても用地の取得等を進めている状況です。市としても市道との交差点区間となる清浦歯科付近の用地取得を進めるなど、早期完成を目指してまいります。
一般県道上吉影岩間線は、JR常磐線「堅倉街道踏切」の拡幅計画を県とともに進めてきた結果、地権者からの協力が得られましたので、道路及び踏切の拡幅工事を実施してまいります。

  • 生活を支える幹線道路の整備

来栖本戸線、南友部平町線、市道(友)2級5号線などの路線について、国の交付金を活用しながら整備を進めてまいります。また、生活道路の整備につきましては、各行政区からの要望に基づき、優先度の高い路線から計画的に整備を進めてまいります。

  • 道路の維持管理

岩間地区において道路管理業務を民間事業者に包括委託することにより、事務の省力化、コスト削減を図るための取組みを試行的に進めてまいります。

  • 上下水道事業

水道事業に関しては、3市町の合併に伴い平成22年度に創設認可の許可を得て事業運営しているところですが、合併から10年余経過し、人口減少、施設の老朽化など水道事業を取巻く環境は大きく変化しておりますので、このような変化に対応すべく、新たな「水道事業基本計画」を策定してまいります。
公共下水道事業は、昨年4月1日より地方公営企業法の適用となりました。企業として独立採算制を重視する立場から、経営状況を市民に明らかにするとともに、使用料の適正化、合理的な施設の維持管理手法などの検討を進め、経営の健全化に努めてまいります。また、浄化センターともべは、茨城中央工業団地(笠間地区)の企業誘致による流入水量の増加に対応するため、水処理施設を増設し処理能力の向上を図ってまいります。
農業集落排水事業は、供用開始区域の加入促進を図るとともに、友部北部Ⅱ期地区の管路整備を2020年度の完成を目標に実施してまいります。また、公共下水道や農業集落排水の実施地区以外の申請者に対しては、合併浄化槽の設置に関する補助を引き続き実施してまいります。

2.生活環境の整備

  • 災害等に対する備え

近年頻発する大雨や地震などの自然災害から市民の生命、財産を守るための防災対策を強化するとともに、災害発生時における停電対策として、拠点避難所2カ所に太陽光発電街路灯を整備します。大規模災害により発生した災害廃棄物は、適正かつ迅速に処理するための災害廃棄物処理基本計画を策定してまいります。

  • 自主防災組織

1月末現在で146団体が設立し、組織率は61.19%という状況で、まだまだ住民意識の向上が必要です。未結成の地区に対し、区長等を通じ組織結成を促してまいります。

  • 防災士

防災に関する一定の知識・技能を有する防災士については、1月末現在で87名が資格を取得しておりますが、地域防災力の更なる強化のため、防災士の資格取得と連絡協議会の結成を促してまいります。

  • 防災行政無線

アナログ式防災無線の使用期限が2022年11月末までと決められていることから、防災無線のデジタル化に向けた実施設計に着手します。

  • 原子力災害に対する備え

内閣府や茨城県などとの協議を重ね「笠間市原子力災害広域避難計画」の実効性をより高めていくとともに、栃木県内の避難先となる5自治体、茨城県、関係団体との連携による避難訓練を実施したいと考えております。

  • 消防・救急体制の整備

老朽化が進んでいる友部消防署、岩間消防署の施設の在り方や、人員、車両の適正配置を行うため、外部の有識者等を含めた検討委員会を設置してまいります。また、笠間市、水戸市など県央地域7自治体による消防の広域化については、引き続き協議を進めてまいります。

  • 消防団

昨年4月1日より33個分団に統合再編し、新たな体制となりました。今後は消防ポンプ自動車や詰所の更新等を定期的に行うなど、非常備消防の充実強化を図ってまいるとともに、団員確保のため、市内事業者に協力いただきながら消防団員への優遇制度などを構築してまいります。

  • 防犯体制の整備

昨年の市内における刑法犯罪件数は543件で、前年より35件増加している状況にあります。対策として、犯罪の抑止効果を高めるための防犯カメラを市内38箇所に76台が設置しております。更に、防犯連絡員等との連携を図りながら、犯罪の未然防止に取り組んでまいります。

  • 交通安全対策

昨年の市内における交通事故発生件数は250件で、前年より10件減少しておりますが、死者数は6人と昨年より3人多い状況にあります。特に、自転車が関連した事故が増えており、また、全国的には加害者となって高額な賠償責任を負う事例なども見られます。このことから、今議会に「笠間市自転車の安全利用に関する条例」を提出し、身近な交通手段である自転車の安全、かつ適正な利用を推進するとともに、自転車利用者の損害賠償保険への加入の義務化なども図ってまいります。

  • 消費者行政

笠間市消費生活センターへの相談件数は1月末で539件となっており、前年より170件増加しています。主に高齢者を狙った架空請求詐欺等の手口が複雑化していますので、高齢者クラブ等への振込み詐欺防止の啓発を図るなど、消費者の方々への情報提供、啓発活動を継続して実施し、消費者トラブルの未然防止、早期解決を図ってまいります。

  • 一般廃棄物処理

一般廃棄物処理基本計画に基づき、市内2か所で行っているごみ処理体制の統一に向けた検討を進め、更に、ごみの分別区分の在り方、処理手数料の見直し等についても検討してまいります。

3.健康増進・福祉の充実

安心して子どもを産み、育てることができる社会を実現するため、2020年度からの5か年の計画書として「笠間市第2期子ども・子育て支援事業計画」を策定してまいります。

  • プレコンセプションケア事業

妊娠する前の段階から自身の健康をケアするための「プレコンセプションケア事業」を市立病院と保健センターの連携事業として実施してまいります。この事業は、子どもを生み育てる世代を中心に、各検査のデータを基にした医師や保健師等からの助言、指導により、将来の妊娠に備えての健康維持、そして出産の正しい知識を醸成し、安心した出産や育児などの一助とするためのものであります。

  • 予防接種費用の助成事業

任意予防接種となっているロタウイルス・おたふくかぜ・風しんについて、接種費用の助成事業を行います。ロタウイルス・おたふくかぜについては乳幼児、風疹については妊娠を希望している夫婦や妊娠している女性の配偶者を対象とします。

  • 在宅での子育てに対する支援策

在宅での子育てに対する支援策として、家庭で0歳児から2歳児の子育てをしている保護者のリフレッシュを図ることを目的に、笠間キッズ館を会場として、ヨガやフラワーアレンジメント、ネイルアートなど、気軽に参加できる託児付きの講座を開催してまいります。

  • 子育て支援住宅

県営福原住宅の入居率が低い状況にありますので、市営・県営住宅を「子育て支援住宅」として活用します。入居している子育て世帯への交付金の支給や、集会所を利用した学習支援教室などを開催することで、既存の公営住宅を有効活用した新たな子育て支援策に取り組んでまいります。

  • 公私連携幼保連携型認定こども園

4月から「かさまこども園」と「いなだこども園」は、学校法人大成学園が管理・運営を行う「公私連携幼保連携型認定こども園」となります。民間の持つノウハウを活かした特色ある運営により、更なる教育・保育の充実を図ってまいります。

  • 待機児童対策

2月時点において、1つの保育施設で2人の待機児童がいます。来年度は3つの民間保育施設で39名の受入れ枠を拡充するなどにより、待機児童の解消に努めてまいります。

  • 保育士不足への対応

市内の民間保育園・認定こども園等で正職員として新規採用された保育士等に対する就労支援金を創設し、保育士等の確保を図ってまいります。

  • 放課後児童クラブ

利用者の受け皿の拡充のため、稲田小児童クラブのクラス数を現在の1クラスから2クラスに増設します。また、4月から岩間地区内に民間児童クラブが開所しますので、運営等に対する支援を行ってまいります。

  • 地域の福祉

地域に潜在するひきこもり者の実態調査を行い、早期の自立に向けた支援につなげてまいります。また、様々な悩みや問題を抱えた方々が必要な支援が受けられるよう、自殺対策の強化を図ってまいります。

  • 発達の気になる子ども

保健・教育・福祉の3分野が連携し、ライフステージに応じ、必要な支援が切れ目なく受けられる体制づくりに取り組んでまいります。子どもの発達に不安を抱える保護者が地域で相談でき、早期に適切な療育支援につなげるため、各種施設や専門機関と連携した支援拠点となる「児童発達支援センター」を早期に整備してまいります。

  • 児童虐待

虐待が疑われる事案については「要保護児童対策地域協議会」におけるケース会議で協議し、学校や警察、児童相談所などの関係機関と連携を図りながら対応しております。子どもの命を守るため、これら関係機関との更なる連携を図りながら、児童虐待防止のための取組みを進めてまいります。

  • 高齢者福祉

高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らすことができる「地域包括ケアシステム体制づくり」の取組みを進めてまいります。また、終末期における支援が課題になっていますので、財産管理など人生の終末期への備えのため「成年後見制度」の利用促進を図るとともに、医療・介護の在り方について、専門職を対象とした研修等を実施し、高齢者からの相談・支援体制の強化に取り組んでまいります。

  • 認知症対策

健康診断のデータなどを有効活用し、壮年期からの認知症予防とリスクに対する意識付けを進めるとともに、軽度認知障害状態からの重度化防止や介護予防ためのメニューを充実させてまいります。また、徘徊のリスクを抱える高齢者本人や家族の支援のため、本人の居場所を特定するためのGPS器機の貸与や、市内の協力事業所などと連携した徘徊声かけ模擬訓練を実施してまいります。

  • 市立病院の充実

訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーションなど在宅医療の充実を図るとともに、人間ドック、レスパイト入院、市内医療機関からの入院などを積極的に受け入れ、病院経営の充実を図ってまいります。本年1月から病棟の一部を地域包括ケア病床にしました。地域包括ケア病床では、これまで以上にリハビリテーション機能を充実させ、在宅復帰に備えた切れ目のないケアを実施してまいります。また、市立病院の患者の多くが高齢であり、筋肉、関節などの運動器の診察において、今まで以上に専門的知識を有する医師の診断も必要であることから、この4月から整形外科の専門医を招へいし、外来入院診療の充実なども図ってまいります。

  • 国民健康保険制度

昨年の法改正により県が財政運営の主体となりました。健康づくりの意識づけや、医療費の25%を占めている生活習慣病予防などの取組みを進め、市民の健康増進と医療費の適正化を図ってまいります。

  • 医療福祉制度

4月から茨城県が精神障害者保健福祉手帳1級所持者を助成対象に加えることから、本市においても同様に助成対象者の範囲を拡充してまいります。

4.産業の振興

  • 企業誘致

昨年、茨城中央工業団地(笠間地区)に株式会社トンボとタカノフーズ関東株式会社の立地が決定し、操業開始に向けて準備を進めているところであります。茨城中央工業団地(笠間地区)については、昨年価格を引き下げたことで多くの企業から問い合わせがあり、現在も数社と具体的な話を進めている状況であります。畜産試験場跡地などを含め、今後も事業用地の積極的なPRを図ってまいります。

  • 農業を支える担い手

今年度、小原地区の水稲農家で第三者への事業承継がされ、また、来年度は泉地区の梨農家で第三者承継が予定されています。地域農業の中心経営体となる認定農業者や認定新規就農者などに対する研修費、機械・施設の整備費等への支援を行う事により、更なる担い手の確保・育成に努めてまいります。

  • 土地改良事業

「石井・来栖・稲田地区」、「大渕地区」、「南友部地区」の新たな整備と、「押辺・安居地区」、「上郷地区」の再整備を、新たに創設された農地中間管理機構関連整備事業などを活用し推進してまいります。

  • 笠間の栗の振興

新たな事業として栗の苗木に対する補助を行います。これは、笠間市果樹産地構造改革計画に挙げた品種の苗木によって、一定規模以上の改植に取り組む農家に対し補助金を交付するものです。また、栗畑を10a以上規模拡大する農家に対して、拡大規模や整備内容に応じた補助金も引き続き交付するとともに、この事業と連携して栗生産に関わる作業員を雇用した場合、その賃金の一部を補助することで更なる栗の圃場拡大と生産振興を図ってまいります。
管理が行き届かない栗畑や遊休地を借り上げ、栗の生産拡大と品種、サイズ別出荷を推進するための「遊休農地等を活用した笠間の栗生産拡大事業」は、東京に本社を置く2つの企業からの企業版ふるさと納税制度を活用し事業を進めてまいり、3年間で16.6haの圃場の拡大、17トンの収穫量の増加につながっております。来年度も企業の協力をいただき、更なる栗の生産拡大を図ってまいります。
かさま新栗まつりは、昨年会場を笠間芸術の森公園に変更し、前の年を2万4千人ほど上回る7万1千人の方に来場いただきました。より多くの集客が期待できるイベントですので、実行委員会に対する支援などを行いながら、栗農家や加工業者など100店舗の出店を目指し、更なる内容の充実と、出店者の売上拡大を図ってまいります。

  • 有害鳥獣対策

イノシシによる農業被害が増える中、電気柵等の設置に対する補助を継続するとともに、本市の先駆的な取組である地域住民参加型鳥獣被害対策として、地域住民が組織した団体による、わなの設置・見回り、捕獲後の処理等に係る支援に厚みを加えてまいります。また、県と連携し、センサーカメラやICT機器を活用した捕獲わなを設置するなど、イノシシ被害の軽減に取り組んでまいります。

  • 商工業

中小企業の経営者や小規模事業者の高齢化が進んでおり、事業承継が大きな課題になっています。昨年、市内の実態調査をしたところ、「後継者がいない」、「廃業を予定している」と回答した事業者が約4割を占めることが分かりました。事業承継に関するセミナーや、事業者に対する個別調査を実施することなどにより、事業承継に対する意識を高めてまいります。

  • 市内企業における人材の確保

笠間管内の有効求人倍率が平均1.09と高水準で推移するなかで、中小企業においては職員の採用が困難となっている状況にあります。市内企業の雇用促進を図るため、高校生や大学生などが市内企業でインターンシップを行うためのマッチングサイトの運営を行ってまいり、これまで大学3、4年生の6名が3社でインターンシップを実施しております。また、学生に市内企業を紹介する場として、常磐大学と筑波学院大学を会場としたマッチングフェアや、高校1年生を対象とした体験バスツアーを開催し、計38名の学生に参加いただきました。昨年10月には地域交流センターともべで就職面接会を開催し18名の参加をいただいています。これら事業は市内企業と学生を結ぶ貴重な機会となっておりますので継続して実施してまいります。

  • 笠間焼の振興

ニューヨークにおける笠間焼展覧会や、タイとの陶芸を通じた交流など、海外への販路拡大の取組みを意欲ある作家とともに、県、ジェトロなどと協力しながら進めてまいります。

  • 建設業の振興

昨年、笠間市建設業振興補助金を創設し、商工会を通じたリフォーム補助を行った結果、これまでに46件の利用をいただいています。リフォーム関連工事の需要を掘り起こし、建設施工業者の受注機会の拡大を図る意味からも重要な事業でありますので引き続き実施してまいります。なお、10月に消費税率の引上げが予定されていますので、増税前の需要の拡大に対応してまいります。

  • 観光政策

これまでの「かさま観光大使」や「観光案内所」の事業を見直し、より専門性が高く、率先して観光PRを行う人材の育成や、市民や市内事業者を対象とした観光講座などの活動を行う「かさまコンシェルジュ事業」を新たに実施してまいります。

  • 国際観光戦略

訪日外国人の受け入れについて、政府は2020年までに4千万人を目指すという目標を掲げ、受け入れ環境の更なる整備を進めることとしております。このことから、本市においても、引き続き訪日外国人をターゲットとした国際観光戦略を進めてまいりたいと考えております。特に、昨年8月に開設した笠間台湾交流事務所との連携による台湾からのインバウンドの促進や、教育旅行の受入れ、また、昨年連携協定を結んだ株式会社昭文社と株式会社オマツリジャパンとの協力を図りながら、本市の観光資源やイベント情報などを広く発信し、外国人観光客の受入れの拡大を図ってまいります。

  • 観光施設の整備

「つつじまつり」の会場となる笠間つつじ公園については、この4月から年間を通じた利活用の促進を図るため、笠間観光協会を指定管理者として管理運営を行ってまいります。通年での公園の利活用とつつじの植栽管理を一体的に進めることで、指定管理としての成果を期待するものであります。

5.教育・文化・スポーツの振興

  • 学校教育

児童・生徒の学力向上のため、更なる取組みを進めてまいります。
ここ数年、全国学力調査などで課題の見られる算数・数学の学力向上に向けて、支援講師の配置や教員の指導力向上のため研修会を実施するとともに、インターネットを活用した個別学習ドリルを導入し、確かな学力の定着に努めてまいります。

  • 英語教育

引き続き英語指導助手を全校に配置し、社会のグローバル化に対応できるコミュニケーション能力の向上に取り組んでまいります。なお、昨年10月に県内の全公立中学校の2年生を対象として、茨城県が実施した英語のコミュニケーション能力を測定するためのテスト(GTEC)の結果によりますと、本市の生徒の成績は平均54.8点で、県平均の47.4点を7.4ポイント上回っており、着実に成果が出ているところであります。

  • 特別支援教育

障がいのある子どもとその保護者に対する相談・支援体制の更なる充実を図るとともに、引き続き就学前教育アドバイザーを配置し、保育園、子ども園等と小学校との相互理解と円滑な連携接続を進めてまいります。

  • いじめや不登校、問題行動

子どもたちの多様な課題に対応するため、スクールソーシャルワーカーの配置を継続し、学校と家庭、関係機関との連携強化に取り組んでまいります。

  • 学校施設の整備

中学校の普通教室と特別教室へのエアコン設置工事を今年の夏に向け進めてまいります。また、みなみ学園義務教育学校の増築・改修工事を2か年かけて進めるとともに、友部第二中学校校舎の老朽化改修工事を実施します。
小中学校のトイレの洋式化は、児童生徒のライフスタイルの変化や避難所としての役割強化に対応するため、年次計画を見直し優先的に整備することとして、未整備であった岩間第二小学校、北川根小学校、友部小学校のトイレ改修工事の実施設計を進めてまいります。

  • 文化・生涯学習の振興

15年間にわたり実施してきた「茨城国際音楽アカデミーinかさま」は、本年3月の開催をもって事業を終了いたします。来年度は「かさま音楽フェスタ~奏~」として、市民のためのクラシックコンサートを中心に、子どもたちが音楽の素晴らしさを体験するためのキッズコンサート、誰もが気軽に音楽を楽しむ事ができる街角コンサートなど、これまでとは形を変えて音楽による街づくりを進めてまいります。

  • 笠間城跡保存整備調査事業

これまでに行ってきた測量成果に基づく現地踏査を実施し、今後の詳細調査のための実施計画を策定してまいります。また、調査の成果及び進捗状況については、笠間歴史フォーラム、かさま歴史交流館井筒屋2階の歴史展示コーナー、市のホームページ等で報告してまいります。

  • 筑波海軍航空隊記念館

昨年12月に市指定史跡となった旧司令部庁舎の公開に向けた整備を進めてまいります。また、各家庭等に収蔵され、埋もれたままになっている貴重な資料等の収集、整理などにも取り組んでまいります。

  • 市立図書館

貸出数が人口8万人未満の市区の公立図書館で6年連続全国1位となりました。また、笠間図書館については、現在照明のLED化工事を行っており、来月8日から開館する予定です。利用者のニーズを積極的に取り入れながら、引き続き日本一の図書館を目指してまいります。

  • スポーツの振興

本年は第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」が開催されます。大会期間中の9月から10月にかけて、本市では「軟式野球」、「クレー射撃」、「ゴルフ(女子・少年男子)」の3つの正式競技と、会期前の8月にはデモンストレーションスポーツの「合気道」が開催されます。大会の成功に向け、職員総動員体制で準備、運営を進めるとともに、より多くの市民の方が大会に関心を持ち、選手を応援していただけるよう、積極的なPRを図ってまいります。

  • 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組み

東京オリンピックの開催まで、あと1年5か月となりました。
本市出身のアスリートの活躍も期待されますので、市民の皆さんとともに応援をし、東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げてまいります。なお、その一環として、来月23日に本市出身者や、本市とゆかりのあるオリンピアンと、元NHKのオリンピック実況アナウンサーを呼んだトークショーを実施する予定です。
これまでホストタウンとして交流を続けてきたタイ、エチオピア、台湾からのオリンピック選手団の事前・事後キャンプの誘致や、選手との交流活動などを積極的に進めてまいります。さらに、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした国際交流の推進のため、エチオピアからのスポーツ国際交流員を招へいし、中学校等での部活動指導や、学校教育の中で相手国の文化を知る学習なども取り入れてまいりたいと考えています。

6.活力ある地域づくり

  • 生涯活躍のまち(笠間版CCRC)の構築

居住施設の整備に向けて、事業候補者とともに具体的な事業に着手してまいります。また、日々の暮らしの支援を行う生活支援組織の設置に向けた取組みも併せて進めてまいります

  • 定住・移住の推進

これまで移住体験ツアーや、空き家を活用した短期移住体験などを実施してまいりました。今年度は合わせて65人の方が利用し、うち4人の移住につながっております。来年度は、新たな取組みとして、移住希望者に本市の良さをもっと知ってもらえるよう、地域の方々に協力をいただきながら、農業や陶芸などの体験活動を移住体験のメニューに取り入れてまいります。

  • 女性活躍推進事業

年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、その多様性を認め合い、誰もが平等に活躍できる社会の実現を目指すための「多様な生き方支援事業」として進めてまいります。また、妊娠・出産・子育てという女性のライフステージの中での多様な働き方を推進するため、昨年10月に連携協定を締結したNPO法人子連れスタイル推進協会と協力しながら、新たな働き方の一つである「子連れ出勤」について、市内企業などに取組みの輪を広げてまいります。

  • 国際化の推進

この4月から新たな資格での外国人労働者の受入れが始まります。今後増加が見込まれる外国人と地域の方との共生が図られるよう外国人相談窓口の設置を進めてまいります。

7.効率的な自治体運営

  • 行政サービス

これまでも笠間市行財政改革大綱に基づき、効率的な事務執行、事業費の削減等に努めてまいりました。しかしながら、持続性のある行政サービスを提供していくためには、住民の方に対しても一定の負担や、我慢をお願いすることも必要になってまいります。休日夜間の窓口延長サービスの見直しなどを進め、限られた人員と財源の中で、効果的な自治体運営に取り組んでまいります。

  • 職員の働き方改革

この4月から時間外労働規制が施行され、原則として月45時間、年間360時間が時間外勤務の上限となります。これまで以上に事務執行の効率化を図り、職員の働き方改革に取り組んでまいります。また、職員の資質の向上が重要でありますので、市の運営を担う人材としてのあるべき姿を示した「笠間市職員人材育成基本方針」について、時代に即した内容の見直しを行ってまいります。

  • 税収の確保

これまでの口座振替、コンビニ納付、郵便局納付などの納付方法に加え、この4月からスマートフォンを用いた電子マネーによるスマホ決済収納という新たな方法を導入します。これにより、納税者は自宅に居ながらスマートフォンなどを使って手軽に納税手続きが進められるようになり、収納率の向上にもつながります。

  • ふるさとづくり寄附金制度(ふるさと納税)

2月22日現在の納税額は5千641万円で、昨年と比較すると約3倍に増えている状況でございます。返礼品に関して、これまでも人気のあった栗の数量確保のための先行予約制度を取り入れたことなどが効果の要因の一つであると考えております。皆様からいただいた寄附は元気かさま応援基金に積み立て、地域活性化事業などに活かしてまいります。

  • 市役所庁舎の大規模改修

本庁舎の議会行政棟は築36年が経過し、施設の老朽化による様々な不具合が生じていることから、2か年の予定で大規模改修工事を進めてまいります。環境負荷の低減や省エネに配慮するとともに、安全・安心に利用できるユニバーサルデザインの概念を取り入れた庁舎として、施設のバリアフリー化、ピクトグラムによる案内表示、授乳室やキッズコーナーの設置などを進めてまいります。

  • 広域行政

県央地域9市町村で定める「茨城県央地域定住自律圏共生ビジョン」により、医師・看護師等の確保、広域観光や、広域公共交通の推進などの取組みを引き続き進めてまいります。 

おわりに

今からさかのぼること800年前、笠間時朝は笠間の地に城を築くことを決めました。
1219年から築城が始まり、1235年に完成した笠間城は、明治6年の廃城令によって取り壊されるまで600年以上にわたり、時の領主の居城としてこの地に存在しました。
その後、いくつかの時代を経て平成になり、1市2町の合併によって現在の笠間市があります。
今の時代に生きる私たちは、当時の笠間城がどのような姿で存在したかを知りません。文献をたどり、土を掘り返し、遺跡を調査することで、その在りし日の姿を想像し、現在、国の指定史跡として形にしようとしています。

800年という悠久の歴史の中には、その時代に生きた人々の営みが存在し、その文化、歴史が大切に受け継がれて今日があります。

冒頭にも申し上げましたが、間もなく「平成」という時代は幕を閉じ、5月1日に皇太子殿下が御即位され、新たな時代の幕が開きます。

本市の未来に向けてのまちづくりのため、議員各位、そして市民の皆様と真摯に議論を重ね、市政運営にまい進してまいる所存でありますので、ご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは秘書課です。

〒309-1792 笠間市中央三丁目2番1号

電話番号:0296-77-1101 ファクス番号:0296-78-0612

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