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施政方針(令和5年第1回笠間市議会定例会) 令和5年2月28日

はじめに(市政を取り巻く状況)

まず、新型コロナウイルス感染症についてです。

令和2年1月に国内で確認されて以降、新たな変異株の出現と計8回の感染拡大を繰り返してきました。この間、社会のデジタル化は急速に進展し、デジタルの力による課題解決の仕組みが様々な領域で広がりを見せました。一方で、地域のつながりの希薄化に対する不安など、対面による人と人の交流の重要性も再確認させられたところであります。

今般、政府は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、5月8日に「5類」に引き下げる方針を決定いたしました。
感染拡大から4年目となる今日、コロナ対策は大きな転換点を迎え、ウィズコロナ、そしてアフターコロナへと移行していくこととなります。

また、国内では、昨年2月(令和4年2月)のロシアのウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の高騰や円安の影響により、エネルギー・食料等の物価高騰が続いており、世界的にも景気後退の懸念が高まっております。

さらに、昨今の鳥インフルエンザの流行により、従来からの飼料価格高騰に加え、鶏卵等の供給不足が販売価格の上昇に拍車をかけるなど、家計や経営に対し更なる影響をもたらす状況ともなっております。

こうした中、市ではこれまで、市民の暮らしと、事業者の経済活動を守り、新たな取り組みに対し支援するため、ワクチン接種を含めた各種感染対策や、世代別や業種別など支援対象を明確にした物価高騰対策を、機動的、かつ、きめ細かに展開してまいりました。

この非常に困難な局面を乗り越えるにあたっては、市議会をはじめ市民の皆様のご理解とご協力をはじめ、市医師会をはじめとする医療機関やエッセンシャルワーカーの皆様、さらには、感染対策に係る物品や寄付金等のご寄付いただいた多くの個人・法人等の皆様など、各界・各方面の皆様にご尽力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げる次第であります。

 

次に、人口動態についてです。

昨年、前年比で1950年以降過去最大の減少幅となった人口減少について、2月20日に発表された最新の人口推計においても、令和5年2月1日現在で前年同月に比べて、57万人の減少とされております。

また、昨年の日本全体の出生数は、統計開始後初めて80万人を割り込むことがみこまれるなど、今後、人口減少・少子化は一層、急速に進展していくこととなります。

市の人口動態を見ますと、令和4年(1月~12月)の出生数が、400名を割り込む状況となっており、令和4年の常住人口調査における人口動態では、自然動態で647名の減少となっております。

一方で、令和4年における社会動態では67名の増となり、目標とする、転入者数が転出者数を上回る、いわゆる社会増の状態に転換したところであり、その中でも、これまでの施策の対象としてきた30歳から40歳代の子育て世代については、令和元年度以降(令和3年まで)、毎年、社会増の状態が継続しております。

この流れを確実なものとしていくため、市においても最大の課題となる少子化対策を、令和5年度の重点施策に位置付け、妊娠・出産から高校卒業後まで切れ目のない支援、質の向上など、あらゆる分野から施策の強化・充実を図ってまいります。

 

次に、台湾交流についてです。

昨年10月の国の水際対策緩和後、訪日外国人は増加を続けております。
令和5年1月の訪日外国人旅行者は約149万人で、前の月より12万人増加するなど、長期にわたり、ゼロ近傍となっていたインバウンド需要が回復しつつあります。

こうした中、本年、笠間台湾交流事務所が開設5周年という節目を迎えるにあたり、関係機関等と連携を一層深めるため、笠間市訪問団を結成し、本年11月24日に台湾においてセレモニーの開催を予定しております。観光や農業分野の更なる交流拡大、また、教育分野における大学との連携など、市と台湾との交流を深化させ、新たなステージへと進めてまいります。

また、先に台湾で開催された県主催の「いばらき大見本市」において、本年3月26日から再開する「茨城-台北」の週2便の定期便に加え、新たに茨城と台湾南部の高雄市を結ぶ週3便のチャーター便が4月9日に就航すると発表されたところでございます。茨城と台湾、双方向の往来が再開し、充実することは、今後の台湾との交流拡大やインバウンド・アウトバウンド双方を展開していくうえで大きなチャンスであり、この機会を生かしてまいりたいと考えております。

 

次に、地球温暖化及び自然災害等についてです。

近年、世界規模で温暖化による異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応は今や人類共通の課題となっております。世界的に脱炭素の取り組みが急速に高まる中、国では、気候変動問題に対して国を挙げて対応するという強い決意を表明しております。市においても、地域の脱炭素社会の実現に向けて、公民連携を原動力に、地域ぐるみの先駆的な取り組みを展開していく考えであります。

また、本年は、関東大震災から100年目にあたります。平成23年の東日本大震災発生、そして、先のトルコ・シリア地震では、5万人を超える尊い生命が奪われるなど、自然の脅威を改めて思い知らされると同時に、災害への備えとして、危機管理体制の強化が重要であると再認識したところであります。

こうした激動の時代において、笠間の未来を創るため、課題に対し、常にスピード感をもって、柔軟かつ的確に対応するとともに、市民の皆様のニーズに応える施策、そして、新たな時代を見据えた、将来につながる施策を確実に推進してまいります。

 

令和5年度予算の概要

まず、歳入についてですが、市税については、家屋や償却資産の増加による固定資産税の伸びを見込み、市税全体では、前年度比で約4.3%の増としております。

地方交付税につきましては、国の地方財政計画における地方交付税総額が、前年度と比較して増となる見込みでありますが、市税の伸びを考慮し、前年度同額を計上いたしております。

歳出につきましては、社会保障関係経費に加え、世界的な物価高騰に伴う光熱水費の増などが見込まれるとともに、公共施設の整備等に経費がかかるほか、地域経済の活性化やデジタル化、脱炭素地域の推進などが課題となり、厳しい財政状況が続くものと予想されます。

このようなことから、予算編成方針の基本的な考え方として、将来世代に負担を先送りすることのないよう引き続き健全な財政運営を継続するため、中長期的なコスト意識を持ち、より一層の収入の確保など財源不足の解消に向けて積極的に取り組む必要があるとし、可能な限り経費の見直しを行いながら、重点的な課題への新たな取組みを積極的に進めることといたしました。

その結果、令和5年度の一般会計予算は、総額332億7千万円で、前年度と比較しますと7億6千万円(2.3%)の増となります。

特別会計予算については、(農業集落排水事業特別会計が企業会計へ移行したため) 国民健康保険特別会計をはじめとする4会計で、予算総額は163億7千7百万円であります。

また、企業会計予算については、病院事業会計をはじめとする4会計で、予算総額は103億6千690万9千円であります。
なお、一般会計予算、特別会計予算及び企業会計予算を合わせた、本市の令和5年度の予算総額は600億1千390万9千円で、令和4年度と比較すると35億7千900万2千円、率にして6.3%の増となります。

 

令和5年度の重点プロジェクト

重点プロジェクトの概要(総論)

令和5年度は「未来に向けた笠間市づくり」を重点課題として掲げた上で、特に「子育て都市宣言」、「かさまち娘応援(女性活躍)」、「台湾交流・深化」を重点プロジェクトとした施策を展開するとともに、引き続き、感染症や物価高騰への機動的に対応し、持続する日常生活と地域経済の環境構築に向けた取組みを進め、さらには、農業及び栗のブランド化の推進について強力に進めてまいります。

 

重点プロジェクトの概要(各論)

1.笠間まるごと「子育て都市」宣言プロジェクト

まず、1つ目のプロジェクトである「笠間まるごと子育て都市宣言」についてであります。

少子化が一層進む中で、子育ては親・家庭だけが担うものではなく、「社会全体で子どもを育てる」という意識と、その取組みの強化が必要と考えます。

そのため、子ども・子育ての中心となる民生費、教育費及び衛生費の関連予算総額(総務費、商工費などの関連予算は除く。)については、前年度比約4億円の増額(又は6.3%の増)を図るなど総合的に強化いたしました。

子ども・子育てに関わる分野は多様ではありますが、「笠間まるごと子育て都市宣言プロジェクト」として、大きな枠として「保健・医療・福祉環境」、「子育て・教育環境」、「文化・スポーツ・都市基盤」の3つの充実に向けた取組みを推進します。

 

「保健・医療・福祉環境」

本市では、妊娠から子育て期における切れ目のない支援として、子育て世代包括支援センター、保健センター、こども育成支援センター、さらには市立病院などの体制を構築しながら、プレコンセプションケアから発達相談まで実施してまいります。

また、オンラインでの予約や相談など、サービスの向上策、公民連携での保育環境の向上策、さらには、在宅での子育て支援策を継続して進めていきます。

その中で、医療福祉費支給制度の所得制限の完全撤廃、生殖補助医療費等助成、さらには、1か月児・健診の受診費用の助成といった新たな経済的な支援策を加えてまいります。また、保育所・こども園・学校における医療的ケア児の受入れ体制の整備として、看護師の配置や、訪問看護事業所への委託による看護師派遣、市立病院における医療的ケア児の看護に従事する人材の養成等も進め、安心できる子育て環境の更なる向上を目指してまいります。

 

「子育て・教育環境」

子どもの能力向上に向けて、GIGAスクールをはじめとするICTの活用、英語力の向上、台湾との交流によるグローバル化、民間の教育力を活用した学習塾との連携、さらには、市独自の教員の配置等も行いながら教育力・教育環境のさらなる向上を進めます。

また、保育についても、保育士の確保をはじめ、施設における一時預かり事業や延長保育の実施などサービスの質の向上を図り、子育て支援を応援してまいります。

同時に、経済面での支援策として、新たに小学校・中学校・高校等の進学時に、市内企業が再生したPETボトルの繊維を使用したエコランドセルのプレゼントをはじめ、中学生の制服購入支援、高校等生活応援事業、さらには、在宅で子育てを行っている方に対して、在宅育児応援事業を新たに開始します。

また、第三子以降の給食費の無償化、材料費等の高騰に対する給食費負担軽減事業の実施に加え、学校給食へのオーガニック農産物の導入について、令和5年度は、北川根小学校をモデル校として実施するなど、将来の地域産業の成長も目指した取り組みを実施してまいります。

これらの教育環境の向上に資する取組みは、現在も進めている大学や企業等との連携による人材育成・確保事業と連動していくことで、将来の定住人口の維持、増加を目指してまいります。

 

「文化・スポーツ・都市基盤」

地域全体での子育てを進める上で、かさま子ども大学、笠間志学、寺子屋、スナッグゴルフ、スケートボード、さらにはスポーツ学童といった生涯学習とスポーツの双方における多様な取組みを推進していきます。

また、子どもや子育て世帯が暮らし、集う場の構築として、笠間ショッピングセンター「ポレポレ」周辺のリノベーションについて、公民連携での研究を開始するとともに、あたご天狗の森公園のリニューアルに向けた整備を進めることで、地域全体における子育て環境の向上を目指してまいります。

 

2.かさまち娘応援プロジェクト

次に、2つ目のプロジェクトである「女性活躍」についてであります。

本市の更なる成長を目指す上では、多様な人材の活躍が欠かせないことから、いばらきダイバーシティ宣言に登録し、その実現に向けた取組みを推進しています。

その中で、本市では笠間焼をはじめとして、様々な分野で活躍する女性が多く存在し、地方創生の観点から女性が住みたくなるまちを目指した「かさまち娘(こ)事業」の実施などを行ってきました。

令和5年度は、「かさまち娘(こ)応援プロジェクト」として、まず、挑戦する女性を応援する、伴走型ワンストップの相談窓口を産業経済部商工課に設置いたします。また、市内で活躍する女性の紹介や、各種支援制度に関する情報を掲載する「女性活躍応援サイト」を構築してまいります。

さらに、就職や仕事のスキルアップなど、女性の新たなチャレンジを応援するため、教育訓練の受講費用の一部を助成するとともに、市内での創業支援補助制度に女性枠を新設し、創業に向けた事業計画作成や経営に関する相談会を実施するなど、女性が地域で起業・活躍できるまちを目指してまいります。


3.台湾交流・深化プロジェクト

次に、3つ目のプロジェクトとなる「台湾交流・深化プロジェクト」についてであります。

コロナ禍の中ではありましたが、2020東京オリ・パラ競技大会ホストタウンの登録を受けた交流や台湾バナナの購入による学校給食での提供、さらには、「笠間の栗」の輸出など、「食」を通じた交流、地方創生をテーマとした相互交流、職員の派遣受入れなどを実施してまいりました。

笠間台湾交流事務所開設5周年の節目を迎える令和5年度は、関係機関等と連携を一層深めるため、笠間市訪問団を結成し、本年11月24日に台湾においてセレモニーを開催する予定です。これらの交流を相互の成長に結びつけていくため、新たに教育をテーマとした大学との連携や台湾における「笠間の栗」のブランド化推進と輸出の更なる拡大、さらには台北市との自治体間交流・連携を推進してまいります。

また、5周年記念事業として、中学生の台湾派遣や市民・各種団体等を中心とする台湾訪問ツアーの造成、スナッグゴルフやプロ野球チームとの連携によるスポーツ分野の交流を拡大してまいります。

さらに、観光面の交流強化としては、茨城と台北を結ぶ定期便の再開や、高雄市を結ぶチャーター便の就航を機に、現地旅行会社に対して、インバウンドツアー造成の働きかけを積極的に行ってまいります。今後、様々な分野における台湾との相互交流を拡大・活発化することで、グローバル人材の育成や地域産業の活性化を目指してまいります。

 

主要施策の概要(各論)

脱炭素先進都市への挑戦

まず、脱炭素先進都市への挑戦についてであります。

本市では、2021年にゼロカーボンシティ宣言を行い、本格的な脱炭素社会の実現に向けた取組みを開始しました。本年1月には株式会社常陽銀行、常陽グリーンエナジー株式会社と協定を締結するなど、取組みを加速化させる体制の構築を進めるとともに、市民等に対し環境に対する意識や環境に配慮した行動を促進しているところであります。

令和5年度は、エネルギーの地産地消の実現に向けて、発電・蓄電設備導入に係る補助を実施し、地域における再生可能エネルギー設備等の導入を促進してまいります。

また、公用車における「EV車(イーブイ車)やHV車(ハイブリッド車)の導入による電動化の推進」や、「安居農業集落排水施設」及び「道の駅かさま」における太陽光発電設備の先行設置、さらには、他の公共施設における脱炭素化に向けた再エネ・省エネの両面からの検討を進めるなど、公共領域における脱炭素化を推進してまいります。

さらに、今般、2月17日には、脱炭素先行地域の選定に向け、国にモデル地域の事業計画の提案を行ったところであり、今後、市民や事業者との連携のもと、地域課題の解決につながる脱炭素の取り組みに挑戦し、脱炭素先進都市を目指してまいります。

 

都市基盤の強化による魅力向上

次に、都市基盤の強化による魅力向上についてであります。

渋滞対策

現在、県立中央病院周辺においては、朝夕の交通渋滞が日常的に発生しており、通勤通学時間帯における移動の円滑化や、救急搬送時の安全性確保、さらには日常生活での移動性の向上といった観点から、当該エリア周辺の都市基盤の更なる強化に向け、渋滞対策の重要性が高まっております。

現在市では、渋滞を緩和するための新たな道路のルート選定を進めているところであります。

令和5年度は、JR常磐線を跨ぐ橋梁の設計や各種測量調査を実施するとともに、地域住民説明会を開催し、ご理解ご協力をお願いしてまいります。今後、関係機関との協議を経ながら、本路線の早期着手・早期実現を目指し渋滞対策の強化を図ってまいります。

さらに、近年、住宅開発や商業施設の立地等、宅地開発が活発な旭町地内を通る「市道(友)1級9号線」においては、商業施設等への進入の際や、信号がある交差点において右折レーンの設置がないことなどから、交通量の多さともあいまって慢性的な渋滞の発生が見られます。一方で、現道の限られた道路幅員の中で、渋滞緩和に資するハード的な対策を講じることは困難であるといった状況もございます。

こうした状況を踏まえ、令和5年度においては、迂回路として利用される周辺道路について、道路拡幅や隅切りの整備、舗装修繕等を実施し、市街地における生活道路環境の改善による安心・安全で快適な市街地を形成してまいります。

 

踏切安全対策強化

市では、本年1月6日に第3小原踏切において発生した踏切事故を受け、市内38箇所の踏切付近の道路状況について緊急点検を行うとともに、緊急に安全対策を講じる必要がある箇所の整備について、1月20日の笠間市議会臨時会において、市議会の皆様のご承認をいただいたところであり、現在、関係工事を発注し、一部、踏切前の停止位置を後退させたところであります。

令和5年度においては、次の対策としまして、地元住民の理解を得ながら、第3小原踏切における踏切への進入道路の2か所の拡幅工事や、他の踏切14か所の道路管理対策を実施し、通行の環境改善を図るなど、踏切周辺における安全対策を強化してまいります。

 

生活道路の舗装新設基準の見直し・私道整備助成制度の創設

市道及び法定外道路等の生活道路の舗装整備については、これまで、原則、道路幅員が4m以上となる道路を対象に整備を進めてまいりました。また、所定の幅員が確保できない道路については、一定の基準を設け進めてきましたが、区長を通じた地域住民からの要望に一層応えるとともに、道路通行の安全性の確保の観点から、令和5年度より整備基準を見直すことで市民の生活基盤の向上を図るものであります。

具体的には、整備対象区域の拡大や整備の対象となる道路幅員、さらには道路利用実態に関する基準を緩和することで地域の実情に応じた整備を実施してまいります。

また、令和5年度から、新たに、私道舗装等に係る工事費に対する助成制度を創設いたします。
一定の要件を満たした私道について、地元の皆様が舗装等の整備を自ら行う場合、市が工事費の約9割(90%)を助成いたします。

地域住民の主体性の醸成や、コスト面の負担軽減の観点から、従来制度を大きく見直すことで、生活基盤の環境改善を進めるものであります。


新たな産業拠点整備の加速化及び企業誘致の推進

次に、新たな産業拠点整備の加速化及び企業誘致の推進についてであります。

企業立地推進

企業立地につきましては、茨城中央工業団地(笠間地区)において、これまで10社が進出し、令和5年3月には、製造業1社が操業する他、複数の企業が現在設備投資を進めており、令和5年度中には10社すべての操業が予定されております。

これに伴い500名程度の雇用が生まれる見込みであり、地域への様々な面での相乗効果が期待されるところであります。
また、当該用地の隣接地においても、物流企業が拠点施設を建設し、操業を開始するなど周辺エリアへの開発の拡大が見込まれる状況ともなっております。

こうした状況を踏まえ、令和5年度は、茨城中央工業団地(笠間地区)の残りの区画約30ヘクタールをはじめ、畜産試験場跡地等への企業立地に向けて、県と連携した誘致活動に取り組むとともに、地域経済の活性化を図ってまいります。

 

安居工業地域整備推進

安居工業地域につきましては、常磐自動車道岩間インターチェンジや岩間工業団地に近接する利便性を生かした土地利用を促進するため、平成24年3月に用途地域を工業地域に変更するとともに、地区計画を策定したエリアでございます。

また、近年、茨城中央工業団地への企業立地が進むと同時に、岩間インターチェンジ周辺においても、令和3年から令和5年1月までの約2年間で、8社の物流業を中心とした企業による開発申請が見られるなど、本地域への需要が高まっているところでございます。

こうした状況を踏まえ、安居工業地域における道路等の基盤整備について、令和5年1月20日の臨時会において承認を得た、前倒し予算の早期執行も含め、令和5年度から工事に着手するとともに、引き続き用地買収や測量調査を行うなど、整備を加速させてまいります。また、地権者会と連携した企業誘致を推進するなど、新たな産業拠点の形成による地域経済の更なる活性化を図ってまいります。


産業振興による所得向上

次に、産業振興による所得向上についてであります。

「笠間の栗」ブランド戦略推進

笠間市は、経営体数、栽培面積とも全国1位である栗の産地として、多くのマスメディアに取り上げられ、市内外における「笠間の栗」の認知度は大きく向上しております。 

市内外の和洋菓子店や飲食店において「笠間の栗」を使用した商品が多く提供されており、中でも各店舗の個性的なモンブランが注目を集めております。

令和5年度は、更なる市場の拡大に向けて、笠間市農業公社や民間事業者と連携しながら、モンブランに続く新たな注目商品の開発を進めています。

また、生産面積を拡大するうえで課題となる栗の収穫についても、実験圃場の提供も含めた民間との収穫機械の開発などにも取り組んでまいります。

さらに、笠間の栗を使った商品の材料となる栗ペーストや渋皮煮・甘露煮の安定した供給体制の構築に向けて、原料である「笠間の栗」の集荷体制の強化や生産性の維持・向上に重点を置いた支援、さらには加工事業者の支援についても引き続き実施してまいります。また、良質な「笠間の栗」の商品が提供できるよう殺虫薬剤からの脱却に向け、コールドチェーンによる販売・流通を確立するため関係機関と連携を図ってまいります。

また、「儲かる笠間の栗産地づくり協議会」を中心に、戦略的なPR活動を展開するとともに、JR系列ホテルと引き続き連携をすることで、新たな販路開拓や商品提供を進めてまいります。

原料となる栗の生産量や品質の向上、加工品の安定供給に向けた剪定講習会や、むき手マイスター養成講座の充実化による技術継承にも取り組むなど、ブランド化を一層強化し、「笠間の栗」産業の持続的発展を目指し所得向上につなげてまいります。

 

新規就農者及び担い手農家への支援・新規就農者育成総合対策 

新規就農者等への支援について、次世代を担う新規就農者の安定的な経営を図るため、就農に必要な機械・施設等の導入や経営開始資金を支援してきたことで、令和3年度までの過去5年間において新たに72人の方が就農しております。

令和5年度の新たな取り組みとしまして、就農開始にあたり機械等の導入が簡易にできるよう中古農機具等を取扱う事業者と連携した支援を行ってまいります。

また、認定農業者等においても経営基盤強化のために必要とする農業機械等の整備、地域の担い手農家への農地の集積など、持続可能な農業経営に対して支援を行うことで、担い手の確保と同時に、農家所得の向上につなげてまいります。

 

笠間市産米・ブランド化推進事業

現在、主食用米については、食の多様化や人口減などにより需要が減少し、米価が下落している状況にあります。そのため、米の高付加価値化やブランド化に向けて、米コンテストに参加し高評価を目指すなど、意欲ある個人や団体又は法人に対して、販売強化に対するブランディングを支援し、高価格販売につなげ、稲作農家の所得向上を図ってまいります。

 

笠間市産米の消費拡大事業

また、笠間市産米の消費拡大について、これまでの学校給食における笠間市産コシヒカリの提供に加え、今月から、笠間市産の米を使った米粉パンについて、月1回、学校給食での提供をスタートいたしました。令和5年度についても、全ての小中学校において、米粉パンの提供を計画してまいります。また、米粉を使った「麺」や「和洋菓子」など、パン以外の加工品の可能性を探るなど、笠間市産米の消費拡大を図ってまいります。

 

学校給食における有機食材の提供(オーガニック給食の拡大)

学校給食における有機食材の提供について、将来を担う子どもたちの健やかな成長、食を通じた地域理解の促進、さらには、地場農産物の振興拡大に向け、より安心安全なオーガニック給食を提供してまいります。

令和5年度は、地産地消を前提に提供する食材の供給量の確保に向けて、生産者を対象としたオーガニック給食推進に関する説明会を開き、有機栽培に取り組む意欲のある生産者の拡大を図ってまいります。

また、北川根小学校をモデル校として、1年を通して、有機米や特別栽培米、有機野菜を提供するとともに、子どもや保護者の有機農産物に対する理解を深めていただくため、有機農産物の生産者との交流給食を実施いたします。これらの取り組みを通じて、しっかりと効果検証を行いながら、次年度以降の提供拡大へとつなげてまいります。


交流拠点の再生と魅力向上

次に、交流拠点の再生による魅力向上についてであります。

笠間クラインガルテン施設環境維持整備及び公民連携への移行

まず、笠間クラインガルテンについてであります。

当施設は、都市農村交流、観光農業、地域振興を目的に平成13年にオープンいたしました。これまで、施設維持の観点から必要な修繕等を行ってまいりましたが、以来20年以上が経過する中で、老朽化の進行に伴って、更なる修繕の必要が生じております。
令和5年度においては、現在進めている老朽化状況調査の結果をもとに、ライフサイクルコストを考慮した修繕等に係る実施設計を行ってまいります。

また、施設運営に関しては、より民間のノウハウを生かした運営が期待される公民連携体制への令和6年度移行に向け、新たな利用者の確保、地域資源の活用、事業収益性などの検討を行い、事業提案の募集等に向けた協議並びに諸手続きを進めてまいります。

 

あたご天狗の森公園リニューアル(再整備)

次に、あたご天狗の森公園の休憩施設や遊具等は、建設から約20年が経過し老朽化が課題となっています。
一方で、愛宕山は、森林浴、ハイキング、グランピングリゾートとして注目されていることから、愛宕山地域全体の活性化を図ることを目的に、眺望や自然環境を生かした公園のデザインリノベーションを行うものでございます。

コンセプトは、心も体も切り替わる中継地点 ATAGO SWITCH(あたご スイッチ)としまして、既存の休憩施設やローラーすべり台、樹木の魅力など公園の特性を活かした改修といたします。

施設はユニバーサルデザインに配慮し、飲食を販売するスペースや眺望を楽しみながら食事ができる展望デッキを増築するほか、公園斜面には、子どもも大人も楽しめる、自然にとけこむようなアート遊具やウッドデッキなどを配置し、令和6年4月のリニューアルオープンを目指し施設整備を進めてまいります。

 

笠間工芸の丘リニューアル(再整備)

次に、笠間焼の展示・販売等の拠点である笠間工芸の丘は、開業から24年が経過した中で、施設の老朽化をはじめ、運営面・機能面での課題が生じていることから、今回の大規模改修にあわせ、これまでの機能を見直すとともに、経営面の強化につながる改修を行ってまいります。

施設改修方針の前提として、ユニバーサルデザインを取り入れ、誰にでもやさしく利用しやすい施設となるよう配慮してまいります。

また、笠間市出身の彫刻家で「日本芸術院会員」で「茨城県美術展覧会会長」である能島 征二 氏より寄贈の申出があった彫刻作品27体を展示するギャラリーを設置するなど、笠間工芸の丘の芸術性を更に高めるとともに、「芸術文化の交流拠点」としての役割を一層強化してまいります。

さらに、笠間芸術の森公園や県陶芸美術館も含めたエリア全体の「食」を提供できる「カフェ・レストラン」を現在のカフェラウンジの南側に設置するなど、収益の中核を担う事業にも取り組んまいります。

令和5年度から、センタープラザやふれあい工房等の改修工事を進めると同時に、地元食材を使った食事メニューの開発や新たな工芸の丘の事業計画の検討を進め、令和6年10月に施設の一部をオープンし、令和7年4月の完全リニューアルオープンを目指してまいります。


スポーツシティかさまの推進強化

次に、スポーツシティかさまの推進強化であります。

かさまスポーツコミッション事業

まず、笠間スポーツコミッションの取り組みについてであります。

昨年は、市出身選手の世界レベルでの活躍や、新たな市内プロスポーツチームの誕生などスポーツに関する話題が数多くありました。

令和5年度においても、これらの機運の高まりを逃すことなく、スポーツコミッションの体制強化を図るとともに、その役割を果たしてまいります。

まず、各種大会誘致については、「ムラサキパークかさま」を会場に「県知事杯スケートボード大会」や、「BМX大会」について、令和5年度も継続開催してまいります。また、本年4月には、スケートボードの2大イベントで、来年のパリオリンピックの選考も兼ねた「日本オープン」の開催が、当パークで予定されるなど、年々、注目を集めるアーバンスポーツ大会等の誘致・普及に積極的に取り組みスポーツによる地域への波及効果を一層高めてまいります。

また、東京オリンピックレガシーとしてパラスポーツの普及促進にも取り組むとともに、子どものスポーツ意欲を促進し、基礎運動能力の向上にもつながる「スポーツ学童」を有料で引き続き実施いたします。
さらに、スポーツ指導者や経験者などの人材確保を図り、各種のスポーツ教室の開催や、市民の需要に対応できる体制づくりにも取り組んでまいります。

また、部活動の地域移行に向けた取り組みとしまして、令和5年度に教育委員会学務課に、「部活動総括コーディネータ」を新規1名配置し、地域移行の受け皿となるスポーツ団体や文化団体等と中学校をつなぐ役割を担うとともに、関係機関や団体等との連絡調整や学校に対する指導・助言を行ってまいります。


第2回いばらき県央スポーツフェスティバルの開催(連携中枢都市圏構想推進事業)

本年、「第2回いばらき県央スポーツフェスティバル」を笠間市で開催いたします。

このスポーツフェスティバルは、県央地域9市町村による、連携中枢都市圏構想推進事業のひとつとして実施するもので、圏域内のスポーツ振興を図るため、圏域内に拠点を置く、トップアスリートの皆様による基礎運動等の体験教室やミニゲームなどを実施するものであります。

市では、市総合公園をメイン会場に、「茨城アストロプラネッツ」や「茨城BACKBONE」の市内プロスポーツチームと連携し、県央地域の子どもたちに、トップアスリートと触れ合い・交流するといった、子どもの記憶に残る貴重な体験の場を提供してまいります。

 

かさま陶芸の里ハーフマラソン大会の新コースへの変更

次に、かさま陶芸の里ハーフマラソン大会の新コースへの変更についてであります。

本大会は、平成25年の第8回大会より公認コースとして10回・10年にわたり開催してまいりました。コロナ禍にあって令和2年の第15回大会では、日本最大のマラソンエントリーサイトのハーフマラソンの部で日本一の評価をいただくなど、一定の実績を積み重ねてきたところであります。

10年の節目を迎えた今、本大会について、ランナーと観客の更なる満足度の向上に向け、令和5年度第18回大会から、新コースに変更いたします。

新コースについては、例年沿道観客数が多い、笠間門前通り等の市街地を多く周回するようなコースとし、地域の活性化につなげてまいります。

今後、日本陸上競技連盟の公認コースを目指し、申請に向けた検討準備を進めてまいります。


笠間版デジタル田園都市構想の推進

次に、笠間版デジタル田園都市構想の推進についてであります。

地域での暮らしと持続的な地域経済環境の構築を図ることが喫緊の課題となる中で、デジタル技術の活用による市民生活サービスの向上を図るスマートシティの形成と笠間版デジタル田園都市構想を推進します。

福原地区をモデル地区とした取組みとして、運用を開始した「地域生活アプリ(かさまコネクト)」を活用しながらヘルスケアをテーマとして、新たに日常の健康管理とイベントを組合わせた事業を展開するとともに、引き続きオンラインと対面の双方によるスマートフォンの利用支援などを継続して実施します。また、地域の「移動」に関する課題解決に向け、昨年運用実験を行った、遠隔サービスシステムと一体型の“動く市役所”の本格導入など、デジタル田園都市国家構想交付金を活用した取組みを推進します。

同時に、スマートシティの形成に向け、デマンドタクシーかさまや、かさまCYCLINGのサービス向上にもつながるデータ連携の推進や生涯活躍のまちを目指したコミュニティモデルの形成など、公民連携による取組みを推進します。


デジタルトランスフォーメーションの推進

次に、デジタルトランスフォーメーションの推進についてであります。

急速に進展するデジタル社会への対応として、市ではこれまで、デジタル支所開設にあわせた各種手続きのオンライン化や、マイナンバーカードの普及促進、引越しワンストップサービスへの対応、さらには、デジタルディバイド対策などに取り組んでまいりました。

マイナンバーカードの現在の申請率は75.2%であり、更なる普及に向けた取り組みが必要となっております。これまで実施してきた商業施設や企業等への出張申請に加え、“動く市役所”による地域での移動申請受付を実施してまいります。

さらに、新たな笠間市第2次デジタル・トランスフォーメーション推進計画がスタートいたします。
デジタル技術を活用した業務効率化や、行政サービスを企画立案し、関係部署とも連携・調整できるデジタル人材の育成を進めてまいります。

また、道路台帳や上下水道台帳、用途地域図などが自宅や事務所などから閲覧できる公開型GISの利用を開始してまいります。

さらに、2月22日より、マイナンバーカード交付予約専用ダイヤルにおいて実証実験を開始した、AI電話応答システムについて、今後の運用状況等の効果検証を行うとともに、本システムの他業務への展開を検討し、市民サービスの向上や事務の効率化につなげてまいります。

国の新しい制度への対応として、10月から始まるインボイス制度にあわせたシステム改修や、住民基本台帳や税情報などの基幹系システムにおいて、国が主導する統一・標準化基準に適合した情報システムへの令和6年度の移行を目指して、本格的な調査、分析に取り組んでまいります。

 

以上、令和5年度の市政運営について、所信の一端と主要施策の概要について述べさせていただきました。

 

おわりに

結びに、冒頭にも申し上げましたが、全世界を巻き込んだ感染拡大から4年目となる新型コロナウイルス感染症対策が、今春、大きな転換点を迎えることとなります。

我々には、これまでの困難な日常を乗り越えてきた気概と、知識と経験がございます。

市を取り巻く様々な課題の解決に向けて果敢に挑戦し、笠間の未来を創るため、市議会議員各位、並びに、市民の皆様と真摯に議論を交わし、市政運営に取り組んでいく決意でありますので、皆様のご理解ご協力をお願い申し上げる次第であります。

 

 

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは秘書課です。

〒309-1792 笠間市中央三丁目2番1号

電話番号:0296-77-1101 ファクス番号:0296-78-0612

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