たばこと健康について
たばこの煙と受動喫煙
たばこを吸わない人も知らないうちに喫煙している?!
たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」、たばこから立ち上る「副流煙」があります。
「主流煙」を吸うことは能動喫煙といい、他者の喫煙の「呼出煙」、「副流煙」を吸わされることは受動喫煙といいます。
さらに、たばこを吸っていなくても、壁や衣類、髪の毛、手指、吸い終わった後の呼気(吐く息)に付着したたばこ成分にさらされることを、残留受動喫煙(サードハンド・スモーク)といいます。
煙に含まれる発がん性物質などの有害成分は、主流煙より副流煙に多く含まれています。これにより、たばこを吸わない人も知らないうちに喫煙しているような状態になってしまっています。
有害物質 | 主流煙 | 副流煙(主流煙に対する含有量) |
タール(ヤニ、発がん促進物質) | 1 | 1.2-10.1倍 |
ニコチン(毒物、強い依存性物質) | 1 | 2.8-19.6倍 |
一酸化炭素(酸素の運搬機能の妨げ、動脈硬化促進) | 1 | 3.4-21.4倍 |
アンモニア(臭い、目や鼻への粘膜刺激) | 1 | 294.2-2565.5倍 |
※厚生労働省 e-ヘルスネット「たばこの煙と受動喫煙」参照
たばこの煙は全身に影響します!
喫煙をしたり、受動喫煙にさらされていると、肺がん、狭心症、心筋梗塞、脳卒中を発症する危険性が高まります。
また、赤ちゃんにとっては乳幼児突然死症候群(SIDS)の大きな危険因子となります。
妊娠中の喫煙・受動喫煙は低出生体重児の出生、早産のリスク、出産後授乳している産婦の喫煙では赤ちゃんに下痢や嘔吐、頻脈の中毒症状がみられるなど、多岐にわたる危険性があります。
サードハンドスモークの影響を受け続けると、アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎の原因になるほか、呼吸器や脳に明らかに良くない影響を及ぼすことにより、言語能力発達や成長発達など発育にも悪影響を起こしやすくなります。
この状況なら受動喫煙にならない…?
(1)換気扇の下なら大丈夫?
例えば、お料理をする際に換気扇を回しても、お料理の匂いがお部屋に漂ってきませんか?
それと同様に、たばこの煙は排除することはできません。
(2)ベランダや外なら大丈夫?
喫煙後約4分弱は、吐く息にもたばこの有害成分が大量に含まれています。その後も微量ながら有害成分の排出は続きます。
ベランダで喫煙しても、サッシの隙間からたばこの粒子が部屋に入り込むことがわかっています。
また、たばこの煙が消失した後も衣類、髪の毛、手指にはたばこの有害成分が付着しているため、サードハンド・スモークが発生すると考えられています。
(3)空気清浄機をかけているから大丈夫?
たばこの煙の成分は気体と粒子に分けられ、その95%は気体であり、空気清浄機では粒子成分の除去しかできません。
すなわち、受動喫煙の防止にはつながりません。
禁煙を考えている方へ
禁煙外来のカウンセリングでは、患者さんそれぞれの性格や健康状態、生活に合わせた自己管理法やたばこを吸いたくなった時の対処法、喫煙を再開しやすい状況の予測や回避の仕方など、実践的なアドバイスをしています。
住民の皆様が身近な場所で、気軽に健康情報の収集や、健康相談が受けられる場所を「ヘルシースポット」として薬局に設置しています。ヘルシースポット指定薬局では、禁煙に関する相談をはじめとしたサービスを受けることができます。
また、喫煙は身体全体のがんの原因になるばかりでなく、口腔内のがんや歯周病の原因となることがわかっています。口の中は、喫煙の影響を受け、口臭や歯の着色などの原因にもなります。下記の歯科医院では禁煙支援・相談歯科医院です。禁煙であなたの歯と健康を守りましょう!
妊婦やお子様がいるご家庭へのお願い
たばこの煙や臭いのするところに子どもを近づけないようにすることが大切です。
また、妊娠中の喫煙だけでなく、受動喫煙は、乳幼児突然死症候群のリスクを高めるだけでなく、低出生体重や胎児発育遅延の危険性もあります。
例えば、全面禁煙のお店を選ぶ、たばこを吸う人は禁煙する、禁煙が難しい方はサードハンド・スモークを含めたたばこの煙の害があるものを排除するようにしましょう。
「目の前で吸ってないから大丈夫」ではなく、皆さんで意識していきましょう!
参照:
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- 2023年9月13日
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