県指定文化財 [鰐口(わにぐち)]
【製作】 江戸時代
【形態】 直径33.8センチメートル、厚さ12.3cm
鰐口は神社や寺院の堂前、軒先に掛ける鳴らし物で、参拝者が紐(綱)を振って鳴らす。如意輪寺の鰐口は、円形の縁に次の刻銘が施してある。
右側 常陸国完戸庄市原西方如意寺鰐口一口
左側 右志趣者為殿下泰平也 嘉暦三年卯月十八日礼献積仏
嘉暦三年(1328)は、鎌倉時代末期。「礼献積仏」とは、「敬意をもって礼拝し、献納する」という意味。献納者は宍戸安芸守戸知時で、天下泰平を祈願した。 本品は茨城県立歴史館所蔵の鰐口を、江戸時代に写した模古作と考えられている。
宍戸荘は平安から鎌倉時代にかけて小鶴荘と呼ばれ、京都の公家九条家が所有していた荘園である。この荘園に宍戸氏が地頭として入り込み、その経営権を奪っていき、やがて名称も宍戸荘と変えてしまった。宍戸荘の最も古い記録である。常陸の有力武将宍戸氏は、鎌倉末期から建武新政、南北朝の動乱期に、小鶴荘を侵略し涸沼川流域の支配権を確立した。