県指定文化財 [旧宍戸城表門]
【建立】 天保年間
【様式】 木造長屋門形式、瓦葺き
【規模】 桁行9.5間、梁間2.5間
この門は、もと水戸藩の連枝(れんし)宍戸松平家の陣屋門表門であった。明治初めの廃城の際、現在地に移築されたものである。
宍戸藩はもと秋田家の所領であったが、正保2年(1645)に、三春(福島県)に国替えとなり、その後水戸徳川家の治めるところとなった。天和2年(1682)、徳川光圀の弟頼雄(よりかつ)をもって、宍戸藩初代とし、石高は一万石であった。代々の藩主は、江戸詰めのままであり、陣屋築城の時期はしばらく時代が下がる天保15年(1844)年頃というが、この門の建築年代については諸説があり明確ではない。
門の構造形式は、向かって左手に居室を3部屋、右手に物置をとる長屋門形式である。正面の冠木には、松平家の家紋が3個(桜材・黒漆塗・金箔押し)飾られ、この門の風格を強めている。
県内の諸城郭関係の門のなかで、この種のものは他に残存例がきわめて少ない。