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大黒石のいわれ

むかしむかし、佐城山に大きなお寺がありました。名を「三白山正福寺」といい、お堂や三重の塔などの建物がたくさん山の中に建てられていました。また、百の僧坊があってお坊さん達は熱心に修行していました。
同じころ北の山には、三百の僧坊を待つ徳蔵寺があって大きな力を持っていました。この二つのお寺は同じなかまのお寺でしたが、勢力をのばすために何回も争いを起こしてしまいました。そしてついに、僧兵というお坊さん達が武器を持って戦いとなってしまいました。

ある日、徳蔵寺の僧兵が大勢笠間へせめこんできました。不意をつかれた正福寺の僧兵たちは、むかえうちましたが力およばず、しだいに佐白山のいただき近くまで追いこまれてしまいました。「笠間勢はもうすぐ終わりだぞ、それあとひとおしだ。」「それ、者どもいっきにせめこめ。」
勢いにのった徳蔵寺勢は、細い山道いっぱいにせめこんでいきました。
その時、いただき近くにあった小山ほどの大きな石が、突然ゆっさゆっさと揺れ動き出し、みるみるはげしくなって、ついにごろんごろんと大きな音を立てながら転がりだしたのです。
せめ登っていった徳蔵寺勢は、この石の下じきになったり、つぶされそうになったりしたので、ちりじりになってにげ出しました。僧兵たちは、この石のために戦いの気力をなくして北の山に引き上げてしまいました。
負けてしまったかと思った正福寺勢は、あやういところでこの石のおかげで徳蔵寺勢をしりぞけことができました。大きな石は、佐白山の途中まで転がり、ぴたりと止まりました。
実は、佐白山は、この戦いの前には山のいただき近くには二つの石があったのです。大黒様の形の石ときんちゃくぶくろの形をした石でしたが、転がった石はふくろの形をした石でした。そして不思議なことにいつのまにか大黒様の形の石は消えていたのです。

その後、福をもたらしたふくろの形をしたこの石を、「大黒石」とよぶようになりました。そして、お坊さんたちはこの石が笠間に幸せをもたらし、消えた大石もふたたび元にもどってくるように願いをこめて、次のような歌を作りました。
「大黒の ふくろを残す 笠間山 なおいく末は 福貴なるらん」
今、大黒石は佐白山へ登る山道の中ほどにどっしりすわっていて、行き通う人々に笠間のむかしを語りかけているようです。

ところで、大黒石の中ほどに小さなくぼみがあります。「大黒石のおへそ」と言います。後の世になって、福をもたらす大黒石にちなんで、へそあなに小石を三度つづけて入れると幸せになるという話が伝えられました。
「どうか、いいおよめさんが見つかりますように。」「商売がはんじょしますように。」
ここをおとずれる人々は、自分の願いをこめて何回も石を投げ入れました。ただ、入っていた石を落としては願い事はかなえられないそうです。

※出典 『笠間の民話(上)』笠間市教育委員会

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