文化・歴史
県指定文化財 [氷華磁仙桃文花瓶(ひょうかじせんとうもんかびん)]
【製作】 大正15年(1926年)
【形態】 寸法 高さ43.3cm、口径20.0cm、胴径39.5cm、底径22.0cm
高さ約45cmにおよぶ堂々たる大花瓶であり、胴部上半に大きく仙桃文、胴部下部に蓮弁文をそれぞれ鋭い薄肉彫りの彫文様で配する作品である。
その豊かな膨らみをもった器形や端正な彫文様には近寄りがたいほどの研ぎ澄まされた作行が示されている。波山の確固とした個性を充分に見せるもので、大きさばかりではなく、彫文様の見事さなど波山氷華磁における傑作の一つに数えられる。
なお、波山の氷華磁とは白い素地に透明紬をかけたいわゆる白磁で焼成は還元焔で、紬はやや青味を帯びており、表面には貫入が入る。波山の白磁ではおよそマット調ならば葆光白磁、透明紬ならば氷華磁を箱書されている。氷華磁は、波山の昭和初期を代表する作風の一つである。