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院長挨拶

「笠間市立病院の現在・過去・未来」

現在の笠間市立病院―地域多機能型病院―

病院長 石塚 恒夫

 今日本は超高齢社会を迎え、団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年を見据えて医療・介護体制の整備が進んでいます。病院の役割分担とその機能強化により、効率的な医療が求められています。また治らない複数疾患を抱える高齢者に対し医療と介護が連携し、「ときどき入院・ほぼ在宅」を実現する地域包括ケアシステムの構築も不可欠です。

 当院は、急性期一般30床の小病院です。小規模ながら地域に密着した多機能型病院として、高度急性期を担う茨城県立中央病院と機能分化・連携を図っています。外来・入院・訪問と切れ目なく繋がる継続的医療と、保健(予防)・福祉(介護)と連携した包括的医療を提供しています。

 平成26年度から、機能を強化するための様々な取り組みを行っています。訪問看護・訪問リハビリテーションを開始し、多職種が連携する在宅医療体制を整えています(平成29年度には、訪問看護のステーション化「訪問看護ステーションかさま」・居宅介護支援事業所「ケアプランセンターかさま」開設)。病棟リハビリテーションを担うセラピストや退院調整を担う社会福祉士を採用することで、在宅復帰支援体制も強化しています。少なくとも自分で食べられて排泄できるようにすることが、家に帰るのには不可欠だからです。筑波大学附属病院総合診療科への寄付講座として、「地域医療教育ステーションかさま」も開設しました。総合診療(家庭医療)の後期研修医や地域医療実習の医学生を受入れ、派遣された常勤・非常勤指導医の先生方と地域医療を担う総合診療医の養成に取り組んでいます。

 平成27年度からは県立中央病院との間で、看護師等の医療従事者人事交流を始めました。優秀な看護局長等を派遣していただき、当院の看護師長等が認定看護管理者研修を受講できるなど医療の質改善に役立っています。

友部町国保病院時代―地域における役割の模索― 

 昭和21年終戦まで筑波航空隊下士官集会所として利用されていた土地に、当院は水戸協同病院友部分院として開設されました。昭和24年に周辺市町村事務組合により伝染病隔離病舎が併設され、結核診療を担った時期もありました。昭和34年に友部町が買収することで友部町国保病院と改名され、昭和54年に現在の30床の病院が新築されています。皮膚科専門医が院長をしていた時期もあり、現在も非常勤医師による皮膚科外来が継続しているのはその名残です。平成9年に循環器専門医の院長時代に心臓カテーテル室等を造設するなど、地域の中での役割の模索が行われました。平成16年に私が院長代理となり、地域密着型小規模多機能病院としての病院理念のもとに再起を図ってきました。しかし常勤医師2名の厳しい状況が、長年続くことになりました。しかしそのような中でも訪問診療を継続し、「もの忘れ外来」など新たな取り組みも続けてきました。

 平成22年度に笠間市の平日夜間・日曜外来を当院で受け入れたことが、今振り返れば当院の分岐点になりました。新型インフルエンザ大流行時に、県立中央病院の救急外来がパンク寸前になりました。一次救急は市町村の役割であり、笠間市で一次救急を担うことになったのです。笠間市医師会・県立中央病院・笠間市立病院の医師・薬剤師が連携する場を、当院が提供することになったわけです。それまで内向きの診療をしていた当院の意識が、初めて外に開くことになったのです。この後から歯車がうまく回り始め、県庁の紹介で筑波大学附属病院の地域医療学生実習の受入れが開始されました。これが前述の「地域医療教育ステーションかさま」常勤指導医派遣に繋がり、現在の訪問医療や在宅復帰支援体制の充実に結びついたのです。

地域医療センターかさまの未来―連携の強化と教育の充実―

 平成30年4月に当院は、地域包括支援センター・保健センター・病児保育室が併設された「地域医療センターかさま」として新築移転しました。保健・医療・福祉が連携することで、多職種が連携する地域包括ケアシステムを推進します。当院はこれから次の三つのことに取り組み、この地域における役割を強化していきたいと考えています。

 まず一つ目は、現在ある30床のうちとりあえず半分程度を一般病床から地域包括ケア病床に移行します。在宅などからの軽症急性期(サブアキュート)の患者さんや県立中央病院などからの回復期(ポストアキュート)の患者さんを主な対象とし、病棟リハビリテーションなどによる在宅復帰支援を強化します。将来的に病棟リハビリテーションを行うセラピストが充足させ、すべて地域包括ケア病床の「地域包括ケア病院」になることを目指しています。

 二つ目は、笠間市の在宅医療連携拠点になることです。現在当院は強化型在宅療養支援病院として自ら在宅医療に取り組んでいますが、医師会の先生方の在宅医療を支援できるようにします。看取りも含めた在宅医療には24時間体制が必要であり、訪問診療のグループ化が必要とされます。笠間市の在宅医療の相談窓口となり、グループ化支援・入院診療によるバックアップなどを行いたいです。

 最後に三つめは、保健(保健センター)・福祉(地域包括支援センター)との連携を強化することです。糖尿病重症化予防や認知症初期集中支援チーム事業などに参加することで、医療機関に受診しないような患者さんへのアウトリーチ活動を実践します。

 このような活動を通じて、総合診療医を養成するのにふさわしい教育機関となることを目指します。これから医療を継続するためには医師確保が喫緊の課題であり、教育がその鍵になるのです。「患者を診る」だけでなく「地域を診る」医師を育てるのは、市民の皆様も含めた地域の力です。地域医療を担う医療従事者の教育に参加していただけると、ありがたいのです。研修医が育って今度は指導医として戻ってくるような、循環する病院・地域でありたいのです。

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは市立病院です。

〒309-1734 笠間市南友部1966番地1

電話番号:0296-77-0034 ファクス番号:0296-77-0952

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