市長の台湾訪問(2019年4月)
台湾地方創生交流会に参加して
4月16日から18日まで、台湾国会議員(立法委員)の蔡 培慧氏の招待により、台湾中部の南投県埔里鎮(人口約8万人)と台北市(人口約267万人)で、笠間市の地方創生の取り組みについて講演を行いました。
蔡氏を代表として、台湾の大学、役所、企業関係者は、昨年9月に日本の地方自治体の地方創生への取り組みを勉強するため茨城県や笠間市を訪問し、地域医療センターかさまや栗圃場等の視察を行い、スカイロッジに宿泊しました。市の職員とも活発な議論をするなど関心の深さを感じました。
台湾は今年、地方創生元年と称して取り組みをスタートしています。日本と課題は同じであり、少子化、高齢化、人口減少が急速に進んでおり、出生率は1.1%とのことであります【日本は1.43%(2017年)】。
初日の16日は、台湾中部の魚池郷にある日月潭を視察してきました。台北市から台中まで新幹線に乗り、台中駅では農糧署の胡署長(日本の農林省次官)の出迎えを受け、一緒に日月潭に向かいました。日月潭では蔡氏、南投県魚池郷の劉郷長(日本の市町村長)等の出迎えを受け、湖と周辺を見学し、夕方から湖畔のホテルにて、蔡氏、胡氏、劉氏をはじめ関係者との意見交換会を行いました。
蔡氏の地元である日月潭は湖を中心とした観光の拠点であり、さらなる湖の活用を考えているとのことです。また日月潭のある魚池郷は、台湾でも一番の紅茶の生産地であり、台湾行政院農業委員会の紅茶試験場を視察してまいりました。試験場は日本統治時代の木造の建物を活用し、紅茶の加工機械は約90年前のヨーロッパ製のものを使用していて、台湾の方々の古き良きものを大切にする心を感じました。視察の中で、蔡氏より毎年台湾で行っている紅茶の品評会(台湾最大の品評会)で優勝した紅茶を入れる器を笠間焼で作ってほしいとの依頼があり、10月の品評会にお届けすると約束をしました。非常に楽しみであります。
17日は、台中の南投県埔里鎮役所で、埔里鎮、国立曁南国際大学等が主催する地方創生講演会が開催され、講師として、笠間市の取り組み、市町村の課題について3時間半にわたり講演・質疑を交わしました。約70人の市民、役所職員、地元の観光協会、暨南大学関係者、日本の留学経験者に集まっていただきました。質疑応答では14人の方から質問があり、内容は、地域おこし協力隊、栗の生産拡大への取り組み、財源確保、住民の理解協力、空家の活用、市職員の考え等についてでありました。事業の内容と取り組む体制にも関心があり、推進体制についても説明をしました。
18日は台北市で、財団法人農村発展基金会等主催の地方創生勉強会で講演をし、約90人の方が参加しました。参加者は台湾大学の先生、研究生、市民、マスコミ、芸術大学、農業関係者が中心でありました。参加者の中に笠間市出身の方が一人おり、北海道東川町の台湾観光案内所のお手伝いをしているとのことでした。
質疑の中では、前日と同じように、地域おこし協力隊、栗づくり、笠間焼、教育、人材育成、笠間市のイベント推進体制、市民の意識等、多岐にわたり15名の方々から質問がありました。双方の会ともに1時間を超える質疑・意見交換を行いました。
今回の台湾での講演や交流等を通じて感じたことは、台湾も地方の状況や課題は日本とほぼ同じであり、少子化、高齢化、人口減少のなかでいかに国力を維持し地方の活性化を図っていくかという強い危機意識があり、日本から学び、地方創生の取り組みを強化し実現をしていきたいとの強い思いが伝わってきました。
講演のなかで、日本の地方創生が始まって6年目であり成功も失敗もありますが危機意識を持ち、やる気のある市民、企業、大学、地域の方と連携していくことが重要であると伝えました。
大変有意義な3日間であり、関係者の皆様に感謝を申し上げます。
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- 2019年4月19日
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