下水道にはどんな水でも流せるわけではありません。工場や事業場(以下「事業場等」)からの排水に有害な物質が含まれていると、終末処理場の浄化能力が正常に機能しなくなってしまいます。
これを防ぐために国や市では、下水道法や笠間市公共下水道条例など関係法令に基づき、下水道に流せる水質基準(以下「下水道排除基準」)を次のように定めています。
水質基準を超えるおそれのある下水は、汚水処理施設(除害施設)を設置するなど、何らかの対策をしてから下水道に流さなくてはなりません。また、法律で定められている特定施設及び除害施設の設置を必要とする事業場等には、下水道法及び笠間市公共下水道条例で届出が義務付けられています。
法令によって特別に指定された、排水の水質に規制が必要な施設を特定施設といい、特定施設を設置している事業場等を特定事業場といいます。例えば、ガソリンスタンドに設置されている自動洗車機を特定施設といい、洗車機を設置しているガソリンスタンドを特定事業場といいます。下水道法では次の2種類を特定施設として規制しています。(下水道法第11条の2)
人の健康を害するおそれのあるもの、または生活環境に対して害をもたらすおそれのあるものを含んだ水を排出する施設で、水質汚濁防止法施行令で具体的に定められています。
ダイオキシン類を含む汚水または廃液を排出する施設で、ダイオキシン類対策特別措置法施行令で具体的に定められています。
下水道を利用するすべての事業場等は、特定施設の有無を問わず、排水や廃液が下水道排除基準を超えるおそれがある場合、基準を守るために製造方法、工程等を工夫し、廃液を回収して処理業者に処理を委託するなどの措置をとらなければなりません。それでもなお排除基準を上回る場合は、排水や廃液を下水道排除基準内の水質にするための施設=「除害施設」を設置する必要があります。
特定施設及び除害施設についての事前の届出の有無は、下水道届出フローチャート(PNG:49.57KB)でご確認ください。
様式等の名称 | 対象事業場 | 根拠法令 | 届出時期 | 様式 | ||
様式第4 | 公共下水道使用開始(変更)届 | 下水道排除基準を上回る排水をする、または排水量が最大50m3/日以上である、あるいはその両方に該当する事業場等 | 下水道法第11条の2第1項 | あらかじめ | ||
様式第5 | 公共下水道使用開始届 | 特定施設を設置する上欄の届出に該当しない事業場等 | 下水道法第11条の2第2項 | あらかじめ |
特定施設を設置した事業場等は、次のような方法で水質を測定し、その結果を記録・保存することが法律で定められています。
(1) 測定方法は、下水の水質の検定方法に関する省令(昭和37年厚生省・建設省令第1号)に定められた方法で行ってください。
(2) 測定回数は、次のとおりです。
水質の項目 | 測定の回数 |
温度 | 排水の期間中1日1回 |
水素イオン濃度(pH) | 排水の期間中1日1回 |
生物化学的酸素要求量(BOD) | 14日を超えない排水の期間ごとに1回以上 |
ダイオキシン類 | 1年を超えない排水の期間ごとに1回以上 |
その他の項目 | 7日を超えない排水の期間ごとに1回以上 |
(3) 測定するための試料は、測定する下水の水質が最も悪いと推定される時刻に、水深の中層部から採取してください。
(4) 試料の採取は、排出口ごとに下水道に流入する直前で行ってください。
(5) 測定結果は5年間保存してください。
特定施設や除害施設を設置する事業場等および一定の基準に適合しない下水を排除する事業場等は、下水道を適正に管理するため、事業場等の状況、除害施設又は下水の水質について、報告していただく場合があります。
なお、報告をしない者や虚偽の報告をした者には、罰則が適用されることがあります。(下水道法第49条第5項)
様式等の名称 | 対象事業場 | 根拠法令 | 届出時期 | 様式 | ||
様式第13 | 水質測定記録表 | 特定施設を設置した事業場等 | 測定:下水道法第12条の12 | ー | ||
報告:下水道法第39条の2 | 報告を求められた際 |
特定施設や除害施設を設置した事業場等は、施設の維持管理を担当させるため水質管理責任者を選任し、届出することを義務づけていて、変更する場合においても届出が必要です。
水質管理責任者は、事業場等において排除される下水の水質を法令の定める排除基準値内にするために次のような業務を行います。
様式等の名称 | 対象事業場 | 根拠法令 | 届出時期 | 様式 | ||
様式第6号 | 水質管理責任者選任(変更)届 | 水質管理責任者を選任した事業場等、または選任した水質管理責任者に変更があった事業場等 | 笠間市公共下水道条例第11条 | 選任後遅滞なく |
公共下水道の機能保全及び下水処理場からの放流水の水質を適正に保つために、随時、事業場等への立入検査を実施しています。その際、特定施設、除害施設、汚水の処理方法などについて調査を行い、必要に応じて、採水分析も実施します。(下水道法第13条)
特定事業場は、有害物質又は油が公共下水道に流入する事故が発生したときには、直ちに応急措置を講ずるとともに、速やかに公共下水道管理者に届け出なければなりません。
事故が発生しても特定事業場が応急の措置を講じていないと認められるときは、公共下水道管理者は応急の措置を講ずることを命ずることができます。(下水道法第12条の9第2項)また、措置命令に違反した者に対し、罰則が適用されます。(下水道法第46条)
様式等の名称 | 対象事業場 | 根拠法令 | 届出時期 | 様式 | ||
事故届出書 | 有害物質または油等を公共下水道に流入する事故を起こした特定事業場 | 下水道法第12条の9 | 事故後速やかに |