○笠間市消防多数傷病者発生時に係る救急活動要領

平成18年3月19日

消防本部訓令第22号

1 目的

この訓令は、救急業務実施基準(昭和39年自消甲発第6号)第26条により定め、笠間市における多数傷病者発生時に救急業務処理を迅速かつ適正に行うことを目的とする。

2 活動の範囲

同一の災害において、多数の傷病者が発生し、又は発生するおそれがあり、救急隊一隊のみでは処理できないすべての災害等に適用する。

3 出場制度と指揮体制

出場制度及び指揮体制は別表第1別表第2のとおりとする。

4 現場活動システム

(1) 活動の原則

ア 消防活動

消防活動は、傷病者を迅速に救命するため救出、救護活動を最優先とし消防部隊が相互に連携し、効率的な組織活動を行う。

イ 救急活動

救急活動は、傷病者が短時間に集中して発生するので、救命活動を最優先とし、必要最小限の救命処置と傷病者の迅速、安全な搬送を優先とした活動を行う。

ウ 関係機関との連携

傷病者を効率的に救護するため、特に次の関係機関と連絡を密にし、活動に当たる。

(ア) いばらき消防指令センター

(イ) 関係医療機関

(ウ) 茨城県警察本部

(エ) 財団法人、茨城県メディカルセンター

(オ) 隣接消防本部

(カ) 災害対策本部

(キ) 茨城県笠間保健サービスセンター

(ク) 社団法人日本赤十字社茨城県支部

(ケ) 地域消防団

(コ) その他

(2) 現場指揮本部の任務

現場指揮本部は、消防隊等の指揮運用、情報収集その他広報等に当たるほか、次の任務を行う。

ア 出場各隊の統括指揮

イ 救急指揮所及び現場救護所を定め、指揮者並びに活動部隊を指定する。

ウ 消防活動区域を確保するため消防警戒区域を設定する。

エ 現場に集結する消防部隊等の集結場所を指定する。

オ 現場活動の円滑化を図るため消防部隊等の進入路及び搬送路を確保し、指定する。

カ 出場隊への任務及び活動場所を明確にし、指定する。

キ 警察、医師会、日本赤十字社、その他関係機関と連携及び調整を図り、必要により合同指揮所等を設置し、有機的な活動に当たる。

(3) 救急指揮所の任務

救急指揮所は、傷病者の救護を図るため、次の任務を行う。

ア 救急活動方針を決定し、活動救急隊等に対する徹底

イ 救急指揮所及び現場救護所の統括運営

(ア) 救急指揮所及び現場救護所の開設

(イ) 救急指揮所及び現場救護所要員の任務の指定

(ウ) 傷病者の管理

(エ) 救急資器材の集結及び調達

ウ 救急隊の活動管理

エ 現場指揮本部への報告

オ 現場救急関係者との連絡、活動調整

(4) 現場救護所の任務

現場救護所は、担架隊によって搬送されてきた傷病者を受付し、緊急度に応じて救急処置を施し救急隊に搬送を指示するものであるが次により行う。

ア 救出されてきた傷病者をもれることなく記録し、歩行の可否に振り分け傷病者又は担架隊等に収容する場所を指定する。

イ 傷病者の緊急度に応じて傷病者を区分する。緊急度区分は、別表第3による。

ウ 緊急区分に応じたトリアージタッグを使用する。

・トリアージタッグの仕様は別図による。

エ 緊急度区分に応じた必要最小限の救命処置を行う。

オ 緊急度区分に基づく搬送順位を決定し、救急車への収容人員の調整と搬送先医療機関を指示、傷病者搬送カードに記入する。傷病者搬送カードは、別表第4による。

(5) 現場救護所の設定

ア 現場救護所周囲に警察官、消防団員及び関係者等の協力を求めロープ等によって、消防警戒区域を定め、立入制限を行い、救護活動の円滑化を図る。

イ 現場救護所には防水シートを敷き、毛布等により傷病者の保護を図る。

ウ 現場救護所の開設に必要な資器材は、次のとおりとする。

(ア) 救急資器材

(イ) トリアージタッグ及び傷病者搬送カード

(ウ) 腕章

(エ) 救急指揮所標旗

(オ) 現場救護所標旗

(カ) 保温用毛布

(キ) 非常用担架

(ク) 呼吸管理用器材

(ケ) 携行缶(清水入り)

(コ) 防水シート

(サ) 投光器

(シ) 消防警戒区域設定ロープ

(ス) テント

(セ) その他

エ 現場救護所における傷病者取扱いの流れ

(ア) 現場救護所における傷病者取扱いの流れは別表第5による。

オ 現場救護所選定の要件

現場救護所の設置場所の選定は、次の事項を考慮し、選定する。

(ア) 二次的災害危険がないこと。

(イ) 救急隊等の進入、搬送路が別系統に確保できること。

(ウ) 地形平坦で容易に救急活動ができること。

(エ) 群衆混乱のおそれがないこと。

(6) 医療班の搬送

現場救護所開設に当たり、必要な医療従事者(医師、看護師等)を病院、診療所から搬送する。

(7) 医薬品及び衛生材料等の輸送

現場救護所等において医療上必要な医薬品及び衛生材料を医療機関等より輸送する。

(8) 救急医療情報システム

多数傷病者発生時における救急医療情報システムは、別表第6による。

(9) 広報活動

現場指揮本部は、的確な情報を収集し被災関係者、報道機関その他の関係機関に広報し、人心の安定を図る。

ア 広報内容

(ア) 災害発生日時及び場所

(イ) 責任者、住所、氏名

(ウ) 災害等の概要

(エ) 死傷者数及び収容場所

(オ) 死傷者の氏名、性別、年齢、職業、受傷程度等

(カ) 出場人員及び出場車両の詳細

(キ) 救急救助活動の状況

(ク) その他人心の安定上必要な事項

イ 広報の方法

(ア) 発表

(イ) 広報掲示板の掲出

(ウ) 広報車、指揮車等の利用

(エ) 広報設備の利用

(オ) その他

(平28消本訓令7・一部改正)

5 隣接市町村との応援協定

応援協定締結市町(組合消防本部)

(1) 水戸市消防本部

(2) 芳賀地区広域行政事務組合消防本部

(3) 石岡市消防本部

(4) 茨城町消防本部

(5) 筑西広域市町村圏事務組合消防本部

(6) 小美玉市消防本部

(平28消本訓令7・全改)

6 資器材の確保

(1) 警防用資器材

救助活動に必要な警防用資器材を有効に活用する。

(2) 特殊車両の借上げ

障害物件等の除去に要する次の機材を民間業者等から借り上げる。

ア クレーン車

イ ブルドーザー

ウ チェンブロック

エ バス

オ その他

民間業者と覚書により締結する。

7 訓練計画

笠間市消防警防規程(平成18年笠間市消防本部訓令第15号)第35条により、関係機関と協議の上協力を求め総合訓練等を実施し、救急救助技術の向上及び各隊連携の強化を図る。

8 その他必要と認められる事項

9 施行期日

この訓令は、平成18年3月19日から施行する。

(平成21年消本訓令第4号)

この訓令は、平成21年10月1日から施行する。

(平成21年消本訓令第5号)

(施行期日)

1 この訓令は、平成22年1月1日から施行する。

(平成28年消本訓令第7号)

この訓令は、平成28年4月1日から施行する。

別表第1(第3関係)

出場指定表

 

傷病者数

出場区分

救急救助隊及び消防警戒隊

救急隊

救助警戒その他

平常時第2出場

5名以上~10名未満

笠間管内

近隣救―2隊

友救助隊

友部〃

近隣救―2隊

笠救助隊

岩間〃

近隣救―2隊

笠救助隊

特命第1出場

10名以上~20名未満

笠間管内

笠救1、笠救2、近隣救―2隊

笠警―3隊、友警―1隊、笠救助隊

友部〃

友救1、友部救2近隣救―2隊

友警―3隊、笠警―1隊、友救助隊

岩間〃

岩救1、友救2、近隣救―2隊

岩警―3隊、友警―1隊、笠救助隊

特命第2出場

20名以上~70名未満

管内全域

〇全救急隊

〇応急救急隊

〇全警防隊、笠救助隊、友救助隊(各署、警防隊1隊及び通信要員残留)

〇発生地区担当消防団

特命第3出場

70名以上

管内全域

〇全救急隊

〇応急救急隊

〇全警防隊及び全救助隊

〇各種公的機関及び団体

〇応援協定締結市町村及び茨城県消防相互応援協定締結消防本部

〇発生地区担当消防団

※ 凡例

笠救―笠間消防署救急隊

友救―友部消防署〃

岩救―岩間消防署〃

近隣救―近隣消防署〃

笠警―笠間消防署警防隊

友警―友部消防署

岩警―岩間消防署

笠救助隊―笠間救助隊

友救助隊―友部救助隊

別表第2(第3関係)

(平28消本訓令7・一部改正)

指揮体制

1 第1指揮体制(平常時第2出場)

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2 第2指揮体制(特命第1出場)

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3 第3指揮体制(特命第2出場)

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4 第4指揮体制(特命第3出場)

第3指揮体制に加えて、笠間市相互応援協定書、地域防災計画書等による。

別表第3(第4関係)

緊急度区分表

分類

順位

症状及び状態

タッグ色

緊急処置群

第1順位(T1)

次の具体的症例のいずれかに該当するもの。

〇 JCSⅢ桁の意識障害があり、

・ 瞳孔不同

・ 異常肢位(除脳姿勢、除皮質姿勢)

・ 気道に開存性に疑問がある。

〇 外出血があり、

・ 体表からの動脈性出血が明らかである。

・ 広範な軟部組織からの持続性出血がある。

〇 ショック

・ 不穏状態、蒼白、発汗、冷汗等がある。

・ 橈骨動脈の拍動が触知しがたいか、触知できない。

・ 血圧低下(収縮期血圧90mmHg未満)又は測定不能

〇 呼吸障害があり、

・ 上気道狭窄、上気道閉塞が疑われる(吸気性努力)

・ 鼻翼、頚部、肋間等の呼吸補助筋による呼吸困難を訴える。

・ 呼吸数30回/分以上、10回/分未満

・ チアノーゼがある。

原則的には、15分から30分以内に医療機関で治療が開始されれば救命可能と考えられるもの。

赤色

準緊急処置群

第2順位(T2)

次の具体的症例のいずれかに該当するもの。

〇 意識障害があり、緊急処置群に該当しないもの。

〇 バイタルサインが安定して明らかな長管骨骨折(開放性非開放性)があるもの。

〇 バイタルサインが安定して胸痛、腹痛を訴えるもの、また、圧痛があるもの。

〇 緊急処置群の症状を伴わない重傷熱傷者。

原則的には、30分経過後に医療機関で治療を開始されても生命予後に影響がないと考えられるもの。

黄色

軽傷群

第3順位(T3)

緊急処置群、準緊急処置群以外で軽易な傷病があるもの。

緑色

死亡群

第4順位(T4)

〇 頭部離断のあるもの。

〇 医師が死亡と判断したもの。

黒色

1 緊急度区分の判断に当たっては、受傷機転も考慮すること。

2 Tは、Triageの略を示す。

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別表第5(第4関係)

現場救護所における傷病者取扱いの流れ

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別表第6(第4関係)

(平28消本訓令7・一部改正)

救急医療情報システム

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別図(第4関係)

1枚目(災害現場用)

2枚目(搬送機関用)

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3枚目・表面(収容医療機関用)

3枚目・裏面(収容医療機関用)

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備考

1 タッグの紙質は水に濡れても字が書けるなど丈夫な紙質とし、本体用紙はやや厚手のものとし、複写用紙は本体用紙より薄手のものとする。

2 タッグの形式はモギリ式とする。

3 タッグの紐穴にゴム紐(輪状)を取り付けるものとする。

笠間市消防多数傷病者発生時に係る救急活動要領

平成18年3月19日 消防本部訓令第22号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第11編 防/第3章
沿革情報
平成18年3月19日 消防本部訓令第22号
平成21年9月15日 消防本部訓令第4号
平成21年12月28日 消防本部訓令第5号
平成28年3月28日 消防本部訓令第7号