○笠間市政治倫理条例
平成18年11月24日
条例第258号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手たる市長、副市長、教育長(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。)が市民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使することによっていかなる報酬及び金品(以下「報酬等」という。)も授受していないことを実証するため、資産等報告書及び所得等報告書(以下「資産等報告書等」という。)の提出を義務付けるとともに、資産及び所得等の公開に関し必要な事項を定め、もって市政に対する市民の負託にこたえ、あわせて、市民も市政に対する正しい認識と自覚の下に、清潔で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等及び議員の責務並びに政治倫理基準)
第2条 市長等及び議員は、市政に携わる責務を深く自覚し、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の奉仕者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 常に市民全体の奉仕者としての人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる報酬等も授受しないこと。
(3) 市が関係する公共工事、委託業務、物品納入及び使用資材の購入(以下「工事等」という。)に関し、特定の業者の推薦又は紹介をするなど、有利な取り計らいをしないこと。
(1) 議員 市職員(臨時職員等を含む。)の採用に関し、特定の者の推薦又は紹介をしないこと。
(2) 市長及び議員 政治活動に関して会社その他の団体(政党及び政治団体を除く。)から寄附を受けないものとし、また、自己の後援団体についても同様とする。
3 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、笠間市政治倫理審査会に出席し、自ら潔い態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、自らも主権者として市政を担い、公共の福祉を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 工事等の指名又は選定の依頼
(2) 前条第2項第1号に規定する市職員の採用に関し、特定の者の推薦又は紹介の依頼
(3) その他飲食の供与等社会通念上疑惑を持たれるおそれのある行為
(職員の責務)
第4条 職員は、全体の奉仕者として条例第2条に定める事項について依頼を受けないものとする。
2 職員は、条例第2条に定める事項について依頼があった場合は、上司に報告するものとする。
2 市長等及び議員は、その任期開始の日(再選挙により市長又は議員となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長又は議員にあってはその当選の効力発生の日とする。)において有する第7条各号の資産等について、当該各号に定める事項を記載した資産等報告書及び第8条各号に定める事項を記載した所得等報告書を同日から起算して100日を経過する日までに作成し、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。
(資産等報告書等の提出義務の免除)
第6条 市長及び議長は、前条の規定にかかわらず、市長等又は議員が心身の故障により資産等報告書等を作成するに当たり判断能力が欠けると認めたときは、資産等報告書等の提出を免除することができる。
(1) 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、種別、面積、価額及び取得年月日並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
(2) 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 権利の目的となっている土地の所在及び面積並びにこれらの権利の取得年月日並びに相続によりこれらの権利を取得した場合は、その旨
(3) 建物 所在、種別、床面積、価額及び取得年月日並びに相続により取得した場合は、その旨
(4) 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金のそれぞれの総額
(5) 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄及び株数)
(6) 自動車、船舶及び美術工芸品(取得価額が50万円を超えるものに限る。) 種類及び数量
(7) ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称
(8) 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の総額
(9) 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の総額
(平19条例29・一部改正)
(所得等報告書の内容)
第8条 所得等報告書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) 前年1年間の収入及び贈与
ア 給与、報酬、配当金、利子、賃貸料、謝礼金及びその他これらに類する収入の出所及び金額。ただし、市から支給される給与、報酬その他の給付及び1出所当たり50万円未満のものを除く。
イ 贈与及びもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等)の出所、内容及びその価額又は金額。ただし、1出所当たり3万円未満のものを除く。
(2) 前年分の税等の納付状況
ア 国又は地方公共団体から賦課された税の納付状況
イ 地方公共団体に関する使用料、手数料、保育料及び借入返済金等の納付状況
(3) 地位及び肩書
ア 企業その他の団体(宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)において有するすべての地位及び肩書
イ 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件
(資産等報告書等の閲覧及び保存)
第9条 市長及び議長は、第5条の規定により提出された資産等報告書等を、提出期限から30日以内に閲覧に供さなければならない。
2 市長及び議長は、資産等報告書等を閲覧に供したときは、その旨及び提出状況を市広報等で公告するものとする。
3 市長及び議長は、第5条の規定により提出された資産等報告書等を、提出期限の末日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
4 何人も、市長及び議長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書等の閲覧を請求することができる。
5 閲覧者は、閲覧により知り得たことは、第1条の目的以外に使用してはならない。
(笠間市政治倫理審査会の設置及び委員)
第10条 政治倫理確立のために必要な事項の調査、資産等報告書等の審査その他の処理を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、笠間市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
3 審査会の委員は、5人とし、地方自治の本旨に理解があり、かつ、政治倫理及び資産等報告書等の審査に関し専門的知識を有する者2人並びに法第18条に定める選挙権を有する市民で、公募に応じた者のうちから3人、いずれも議会の同意を得て市長が委嘱する。
4 市長は、前項の規定による公募により応募した者の数が定数を超えるときは、その中から公正を期して委員となるべき者を選出し、議会の同意を得て委嘱するものとし、応募した者の数が定数に満たないときは、再度、公募する。
5 前項の規定により再公募したにもかかわらず、応募した者の数が定数に満たないときは、市長は、公正を期して定員となるべき者を選出し、議会の同意を得て委嘱するものとする。
6 市長は、審査会の委員を公募しようとするときは、委員の職務及び報酬等、応募資格、応募期間並びに応募方法を告示するとともに、市広報等により市民に公表しなければならない。
7 審査会の委員の任期は、2年とし、専門的知識を有する者の委員に欠員が生じたときは市長は速やかに議会の同意を得てこれを補充するものとし、公募に応じた者の委員に欠員が生じたときは市長は速やかに公募をし、公募に応じた者のうちから、議会の同意を得てこれを補充するものとする。
8 補充委員の任期は、前任者の残任期間とする。
9 市長等、議員、市長等及び議員の2親等以内の親族及び同居の親族並びに笠間市職員である者は、委員となることができない。
10 公募による委員が法第18条に定める選挙権を有しなかったとき、又は前項の規定に該当することとなったときは、その職を失う。
11 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
12 審査会の委員が任期中において、前項の規定に違反したときは、その職を失い、その旨を市広報等で公表する。
(審査会)
第11条 審査会に会長及び副会長をそれぞれ1名ずつ置く。
2 会長及び副会長は、委員のうちから互選する。
3 会長は、審査会を代表し、議事その他の会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
5 審査会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。ただし、この条例の施行後及び審査会委員の任期満了後最初に行われる審査会の招集は、市長が行うものとする。
6 審査会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
7 審査会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
8 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を要する。
9 審査会委員の除斥については、法第117条の規定に定めるところによる。
10 審査会の傍聴に関しては、笠間市議会傍聴規則(平成18年笠間市議会規則第2号)の例による。
11 審査会の庶務は、議会事務局において処理する。
12 委員の報酬及び費用弁償については、別に定める。
13 前各項に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、会長が審査会に諮って定めるものとする。
(資産等報告書等の審査)
第12条 市長及び議長は、第5条の規定により提出された資産等報告書等の写しを審査会に速やかに提出し、審査を求めなければならない。
2 審査会は、前項の規定により提出された資産等報告書等を審査し、疑義があるときは、当該資産等報告書等を提出した市長等若しくは議員に対し事情聴取をし、若しくは資料の提出を求め、又はその関係者に対し必要な調査をすることができる。
3 審査会は、前2項の規定により資産等報告書等を審査し、審査を求められた日から起算して60日以内に意見書を作成し、市長等に係るものは市長に、議員に係るものは議長に提出しなければならない。
(審査結果の閲覧)
第13条 市長及び議長は、前条第3項の規定により提出された意見書を提出された日から起算して15日以内に閲覧に供さなければならない。
(市民の調査請求権)
第14条 市民は、閲覧に供された資産等報告書等に疑義があるとき、又は市長等及び議員がこの条例に定める政治倫理基準に反する行為をした疑いがあるときは、これを証する資料を添え、有権者50人以上の連署とともに文書で、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。
2 市長及び議長は、前項の規定による請求があったときは、10日以内にその書類の写しを添えて審査会に調査を依頼しなければならない。
(虚偽報告書等に関する措置)
第15条 市長及び議長は、審査会の意見書において、市長等又は議員が資産等報告書等の提出の遅滞、虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を市広報等で公表するものとする。
(刑法事犯による起訴後の説明会)
第16条 市長等又は議員が、刑法事犯により起訴され、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求め、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、釈明することができる。
3 市民は、説明会において、市長等又は議員に質問することができる。
4 前3項に定める説明会の開催及び運営についての手続は、規則で定める。
(刑法事犯の有罪判決宣告後における説明会)
第17条 前条の規定は、市長等又は議員が、刑法事犯により有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときの説明会の開催等について準用する。この場合において、開催請求の期間は、判決の日から30日を経過した日以後50日以内とする。
(刑法事犯の有罪確定後の措置)
第18条 市長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、法第127条及び法第143条並びに地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条第4項の規定により失職する場合を除き、市長又は議会は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため必要な措置を執るものとする。
(市の工事等に関する遵守事項)
第19条 市長等、議員、市長等及び議員の配偶者、市長等及び議員の1親等以内の親族並びに市長等及び議員の同居の親族が役員をしている企業、市長等、議員、市長等及び議員の配偶者、市長等及び議員の1親等以内の親族並びに市長等及び議員の同居の親族が実質的に経営に携わっている企業で規則で定めるもの並びに市長等及び議員が年間50万円以上の収入を得ている企業(以下「関係企業」という。)は、第2条第1項第3号に規定する契約(1回の契約につき130万円未満の契約は除く。)を辞退しなければならない。
2 市長等及び議員の2親等の親族が役員をしている企業にあっては、第2条第1項第3号に規定する契約を辞退することに努めるものとする。
3 市長等及び議員は、第1項の規定により関係企業が契約を辞退するときは、市民に疑惑を持たれないように責任を持って関係企業の辞退届を提出するものとする。
4 前項の辞退届は、市長等又は議員の任期開始の日から30日以内に市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
5 市長及び議長は、市長等及び議員の辞退届の提出状況を市広報等で公表するものとする。
2 審査会において、この条例に違反しているとの結論が出た場合には、市長及び議長は、審査結果を市広報等で公表するものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(政治倫理の確立のための笠間市長の資産等の公開に関する条例の廃止)
2 政治倫理の確立のための笠間市長の資産等の公開に関する条例(平成18年笠間市条例第8号)は、廃止する。
4 この条例による廃止前の政治倫理の確立のための笠間市長の資産等の公開に関する条例に基づき作成された資産等報告書等及び関連会社等報告書の保存及び閲覧については、なお従前の例による。
附則(平成19年条例第29号)
(施行期日)
1 この条例は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
(1) 第7条第1項第4号の改正規定 平成19年10月1日
(2) 前号に掲げる規定以外の規定 証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)の施行の日
(経過措置)
2 改正後の第7条第1項第4号の規定の適用については、平成19年10月1日前に有していた郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)及び旧郵便貯金(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)附則第3条第10号に規定する旧郵便貯金をいい、通常郵便貯金を除く。)は、預金とみなす。