国指定文化財 [木造弥勒仏立像(もくぞうみろくぶつりゅうぞう)]
【製作】 宝治元年(1247)
【像形】 像高175.2cm,光背高194センチメートル,台座高44センチメートル
本像は,檜材,寄木造り,漆箔,玉眼嵌入である。光背は二重円光,頭光心(ずこうしん)八葉。台座は蓮肉(れんにく)一材,蓮弁(れんべん)は打付け,敷茄子(しきなす)は二材矧(はぎ)である。螺髪は各粒を大きめにつくり,その各々に旋毛(せんもう)を刻んでいる。肉髻(にっけい)は低くて地髪の鉢が張り,その髪際はゆるい波形となっている。衲衣(のうえ)の衣文は複雑で,この時代にはやった中国宋朝の様式と鎌倉彫刻の様式が確立された13世紀中ごろの一典型を示す作品であると考えられる。また,像内墨書銘により,造立に際しての願主(がんしゅ)が笠間時朝であり,地方の一豪族による発願造立の作例が今日まで伝えられたのは珍しい。光背,台座とも造立時のものである。