○笠間市議会基本条例
令和4年8月30日
条例第11号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会運営及び議員活動の原則(第2条―第6条)
第3章 市民と議会の関係(第7条)
第4章 議会と執行機関の関係(第8条―第12条)
第5章 政務活動費(第13条)
第6章 議会の政治倫理(第14条)
第7章 議員の定数及び報酬(第15条・第16条)
第8章 議会の機能強化及び体制整備(第17条―第20条)
第9章 最高規範性及び見直し手続き(第21条―第23条)
附則
市議会は、憲法が規定する二元代表制の下、執行機関である市長との健全な緊張関係を保持しながら立法機能及び監視機能を十分に発揮し、これをもって地方自治法の本旨の実現を目指さなくてはならない。
平成12年4月に施行されたいわゆる地方分権一括法により、地方自治体が自らの責任において、その組織及び運営に関する様々な決定を行うことが可能となり、議会の責務と役割の重要性はさらに高まった。
議会及び議員は、より一層市民からの信頼に応えるため、積極的な情報の公開を通じて説明責任を果たし、議会諸活動への市民の参加のもと、平等の権利を有する議員相互の自由かっ達な議論を展開しながら、市政の論点を明らかにして、政策立案及び提言を積極的に行っていかなければならない。
笠間市議会は、かねてより「大いなる議論と民主的決定の議会」を基本として運営されてきた。また、合併目的である新市の一体化と各地域の均衡ある発展を実現する上で、財政状況や事務執行への監視、市民との直接対話及び市民参加の推進に努めてきたが、今後さらに、笠間らしい信頼されるまちづくりを実現し、効率的な行財政運営を図るため、議員による条例等の積極的な提出、議会審議の公開や広報活動、議員同士の議論及び議員と市民の意見交換等の具体的な行動が求められている。
本市議会は、これまで積み重ねてきた改革への取り組みを確かなものとするため、議会及び議員の責務を自覚しながら、市民の負託に応えられる議会を目指し、全力で取り組んでいくことを宣言し、ここに議会運営における最高規範として、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、議会が担うべき役割を果たすために必要な基本的事項を定めることにより、議会が市民の負託に応え、市民生活の向上、市勢の伸展及び自治の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会運営及び議員活動の原則
(議会運営の原則)
第2条 議会は、市民を代表する唯一の議決機関であることを常に自覚し、公正性及び透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指し、市民に対する説明責任を十分に果たすよう努める。
2 議会は、市の政策決定及び事務の執行に関し、政策の立案及び提言並びに監視及び評価を行う機能が十分に発揮できる議会運営に努める。
3 議会は、市民の多様な意見を的確に把握し、専門的見地からの政策形成を行い、市政に反映できるよう議会運営に努める。
4 議会は、市民に情報が伝わる議会運営に努める。
5 議会は、本会議並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)を原則公開とし、分かりやすい議論を行うよう努める。
6 議会は、議員の政策提言能力を十分に反映するよう、積極的に議員相互間の自由討議を中心とした議会運営に努める。
(議員活動の原則)
第3条 議員は、議会が言論の府及び合議制の機関であることを十分に認識し、議会を構成する一員として議員活動を通じて、市民の負託に応えなければならない。
2 議員は、市民の意見を的確に把握するとともに、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質向上に努める。
3 議員は、市民全体の代表として、その福祉の向上を目指して活動する。
4 議員は、議員活動について、市民に対して説明責任を有する。
(会派)
第4条 議員は議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成し、その理念及び政策については、市民に対し十分な説明を行うよう努める。
3 会派は、議会運営、政策立案、政策提言等に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努める。
(危機管理)
第5条 議会は、災害等の不測の事態から市民の生命、身体及び財産並びに生活の平穏を守るために、緊急時における総合的かつ機能的な活動が図れるよう、市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)と協力し、危機管理体制の整備に努めるものとする。
2 災害等の不測の事態の発生時の議会の対応に関し必要な事項は、別に定める。
(議員研修の充実強化)
第6条 議会は、議員の政策立案及び政策提言能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努める。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門知識を取り入れた研修を積極的に実施する。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第7条 議会は、市民に対し積極的に情報を発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議をはじめ全ての会議を原則として広く市民に公開する。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2に規定する専門的知見、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用して、市民の専門的又は政策的見識を議会の討議に反映させるよう努める。
4 議会は、議案に対する議員それぞれの態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努める。
5 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する場を設置するよう努める。
第4章 議会と執行機関の関係
(議員と市長等との関係)
第8条 議会審議における議員と市長等とは、緊張関係の保持に努めなければならない。
2 本会議における一般質問は、一括質問一括答弁の方式又は一問一答の方式のいずれかの方法を選択し、論点及び争点を明確にして行うものとする。
3 議長から議会の本会議又は委員会への出席を要請された市長等は、本会議又は委員会において答弁に必要な範囲内で議員の質疑若しくは質問の趣旨又は内容を確認するため、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(市長提案の説明)
第9条 議会は、市長が提案する重要な政策、計画及び事業については、次に掲げる事項を明確にするよう求める。
(1) 政策の背景、目的及び効果
(2) 笠間市総合計画との整合性
(3) 関係する法令、条例等
(4) 政策等の実施に係る財源措置及びコスト計算
2 議会は、予算及び決算の審議について、前項の規定に準じて市長等に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明を行うよう求める。
(議決事件の拡大)
第10条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、笠間市における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止とする。ただし、軽微な変更は除く。
2 議会は、前項に規定するもののほか、市行政の各分野における基本的な計画の策定若しくは提携又は協定の締結に当たって、必要があると認めるときは、議決事件の拡大について市長と協議するものとする。
(事務執行の監視及び評価)
第11条 議会は、市長等の事務に関し、監視し、その評価を明らかにする責務を有する。
2 議会は、会議における討議に資するため、市長等に対し、その執行する事務に関する資料の提供を求めることができる。
(政策の立案及び提言)
第12条 議員は、あらゆる会議において自らの意見を丁寧に述べるとともに、議員間での討議を尽くし、条例の制定並びに議案の修正及び議決を通じて市長等に対し、積極的に政策の立案及び提言を行うことができる。
2 議長及び委員長は、議員間での討議を活発化させながら会議を運営し、その結果を市政に反映させられるよう意見集約に努める。
3 議会は、議員間討議を尽くし、意見集約がなされた内容について、政策提言及び条例制定の提案に努める。
第5章 政務活動費
(執行及び公開)
第13条 議員は、市政の調査研究に資するため必要な経費として交付された政務活動費は、政策の立案及び提言のために活用しなければならない。
2 議員は、政務活動費の使途を明らかにし、公開する。
第6章 議員の政治倫理
(議員の政治倫理)
第14条 議員は、市民の厳粛な負託を受けたことを自覚し、高い倫理観をもった良識ある議員活動に努め、名誉と信用を損なう行為をしてはならない。
2 議員は、市民全体の代表者として常に良心と倫理性をもった議員活動に努める。
第7章 議員の定数及び報酬
(議員の定数)
第15条 議員定数の改正は、行政改革の視点だけでなく、人口、面積等の地域要件、財政力及び市の事業課題について長期的な見地に立ち十分に考慮する。
2 議員定数は、法令及び本条例で定める議会活動並びに議会の機能と役割を確保するとともに、類似自治体等と比較検討して定める。
3 笠間市議会議員定数条例(平成18年笠間市条例第259号)で定める議員定数の改正を提案するには、法第74条第1項の規定による直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、他市との比較及び市政の現状、専門的知見等を十分に考慮し、改正理由を付して委員会又は議員が提案する。
(議員の報酬)
第16条 議員報酬は、市民の負託に応える議員活動への対価であることを基本として定めなければならない。
2 笠間市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成18年笠間市条例第38号)で定める議員報酬の改正を提案するには、法第74条第1項に規定する直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、他市との比較、市政の現状、専門的知見等を十分に考慮し、改正理由を付して委員会又は議員が提案する。
第8章 議会の機能強化及び体制整備
(多様性の尊重)
第17条 議会は、議会機能の強化のため、議会活動と、育児・介護等が両立できる環境整備等に努め、多様な立場の市民の声が反映されるようにしなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第18条 議会は、議会及び議員の政策形成並びに立案を補助する組織として、議会事務局の調査並びに法務機能の充実及び強化のため、その体制整備に努める。
(議会図書室の充実)
第19条 議会は、議員の調査、研究及び政策形成並びに立案能力の向上を図るため、議会図書室の充実に努める。
(情報通信技術の活用)
第20条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、情報通信技術の積極的な活用を図る。
第9章 最高規範性及び見直し手続き
(最高規範性)
第21条 この条例は、議会運営における最高規範であり、議会に関する条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図らなければならない。
(条例の検証及び見直し手続き)
第22条 議会は、市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、この条例の目的が達成されているかどうかを検証し、必要に応じて改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。