○笠間市環境基本条例
平成18年3月19日
条例第121号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針(第8条―第11条)
第3章 環境の保全及び創造を推進するための具体的施策(第12条―第20条)
第4章 市民等の参加及び協働による取組(第21条―第25条)
第5章 地球環境保全の推進(第26条・第27条)
第6章 環境審議会(第28条―第35条)
第7章 補則(第36条)
附則
私たちのまち笠間は、北側は八溝山系に属する鶏足山塊につつまれ、中央には涸沼川の悠久の流れに臨み、農地や平地林が広がる豊かな自然に恵まれた、静かで落ちつきのあるまちとして発展してきた。
私たちの生活は、高度な科学技術等の恩恵を受けて、便利となり豊かなものとなってきたが、その反面で資源やエネルギーの大量消費、大量生産、大量廃棄という現象がもたらされ、産業型公害や生活型公害等が環境への様々な負荷を生み、自然の生態系や人体への影響まで懸念されるようになってきた。
私たちは、だれもが良好な環境の下で健康で安全かつ文化的な生活を営むとともに、将来の世代にその恵みを引き継ぐためには、これまでの生活様式や事業活動を見直し、自らの生活や行動を環境への負荷の少ないものに変えていき、人と自然が共生できるまち、やすらぎやゆとりの感じられるまちを目指して、市、市民、事業者がそれぞれの責務を果たし、本市を訪れる滞在者とも協力し合って行動していかなければならない。
ここに、笠間市の環境に関する基本理念を明らかにして、その方向を示し、将来に向かって、笠間市の良好な環境形成に関する取組みを、総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、笠間市(以下「市」という。)、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭等によって人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、現在及び将来の市民が環境から健全で豊かな恵みを受け、健康で文化的な生活を営むことができるよう適切に行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人と自然とが共生することができる恵み豊かな環境を確保するために、樹林、農地、水辺等の自然環境を有効に活用しつつ保全し、環境への負荷の少ない循環を基調とする社会が築かれるよう適切に行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、市、市民、事業者及び滞在者が公平な役割分担と責務の自覚の下に、協働して自発的、積極的に行われなければならない。
4 環境の保全及び創造は、豊かな自然、歴史的文化等を保全するとともに、新たな地域環境を創造しつつ、これらを将来の市民に継承していかなければならない。
5 地球環境保全は、人類共通の課題であるとともに、地域の環境とも密接に関係することから、市、市民及び事業者が自らの問題としてとらえ、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定するとともに、実施する責務を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う廃棄物の排出抑制、騒音の発生防止、屋外焼却行為の自粛等による環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する施策に積極的に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、公害を未然に防止し、又は自然環境を良好に保全するために必要な措置を講じる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任と負担において、その事業活動に伴って生じる廃棄物の発生を抑制し、再利用等を図ることにより、その減量に努めるとともに、廃棄物を適正に処理する責務を有する。
3 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任と負担において、その事業活動にかかる製品その他のものが使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する施策に積極的に協力する責務を有する。
(滞在者の責務)
第7条 観光、レクリェーションその他の目的で本市に滞在する者は、環境への負荷の低減等、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する施策に積極的に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針
(施策の基本方針)
第8条 市は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる環境の保全及び創造に関する基本的な施策を総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより、市民の健康を保護し、及び生活環境を保全すること。
(2) 人と自然との豊かな触れ合いを保つとともに、身近な緑や水辺などに恵まれた生活環境の確保、地域の特性が生かされた良好な景観の形成及び歴史的文化的資源の保全を図ること。
(3) 野生生物の生息及び生育環境に配慮すること等により、豊かな生態系を保持するとともに、河川、森林等の自然環境を体系的に保全すること。
(4) 地域の都市環境及び自然環境に配慮した秩序ある開発が行われるために必要な措置を講じ、良好な都市形成の推進を図ること。
(5) 資源の循環的な利用、エネルギーの消費の抑制、廃棄物の減量等を図り、資源循環型社会を形成すること。
(6) 環境の保全及び創造に関する施策を効率的かつ効果的に推進するため、市、市民、事業者等との連携を強化し、環境に関する教育及び学習の推進を図ること。
(7) 地球環境保全の推進を図ること。
(8) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に必要な施策の推進を図ること。
(環境基本計画)
第9条 市長は、前条の基本施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱について定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民及び事業者の意見を反映するための必要な措置を講じるとともに、笠間市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、各種の施策相互の連携を図りつつ環境基本計画に基づき総合的計画的に行わなければならない。
2 市長は、環境の保全及び創造に関する市の施策を推進するため、庁内に総合的な調整を図るための体制を整備しなければならない。
(年次報告)
第11条 市長は、市の環境の状況、環境の保全及び創造等に関する施策の実施状況等を明らかにするため、環境基本計画に基づき年次報告書を作成し、公表しなければならない。
第3章 環境の保全及び創造を推進するための具体的施策
(公害の防止等)
第12条 市は、公害防止に関し必要な措置を講じなければならない。
2 市は、市民の健康又は生活環境を損なうおそれのある廃棄物の排出、騒音の発生、化学物質等による大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染等を防止するため、必要な措置を講じなければならない。
(環境の保全及び創造に資する事業の推進)
第13条 市は、樹林、農地、水辺等の自然環境を良好な状態に保全するよう努めるとともに、野生生物の生態に配慮し、市民が自然と触れ合える場の創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講じるものとする。
2 市は、文化財その他の歴史的遺産の保存、文化的施設の活用等による文化的な環境の創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講じるものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第14条 市は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の処理の適正化を推進するとともに、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。
(規制等の措置)
第15条 市は、環境の保全に必要な規制等の措置を講じるものとする。
(監視、測定等の体制の整備)
第16条 市は、環境の状況を的確に把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
(調査の実施)
第17条 市は、環境の状況把握等に関する調査その他の環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(苦情の処理)
第18条 市は、公害その他の環境の保全への支障に係る苦情の円滑な処理を図るよう努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第19条 市は、環境の保全及び創造を図るための広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
第4章 市民等の参加及び協働による取組
(情報の提供及び市民等の意見の反映)
第20条 市は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するよう努めるとともに、環境の保全及び創造に関する施策に市民及び事業者の意見を反映させるため必要な措置を講じるものとする。
(市民、事業者、民間団体及び滞在者との連携)
第21条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するため、市民及び事業者の参加及び協力を求める等これらの者との連携に努めるものとする。
2 市は、市民、事業者及びこれらの者で構成する民間の団体(以下「民間団体」という。)並びに滞在者と協力して、環境の保全及び創造に関する活動を積極的に推進するための体制の整備に努めるものとする。
(環境の保全及び創造に関する教育、学習等)
第22条 市は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに啓発活動の充実により、市民、事業者、民間団体及び滞在者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、これに関する活動が自発的に展開できるよう、必要な措置を講じるものとする。
(自発的な活動の支援)
第23条 市は、市民、事業者、民間団体及び滞在者が環境美化活動、再生資源の回収に係る活動、緑化活動、水資源の保護活動等を自発的に行えるよう推進するため、必要な支援を行うよう努めるものとする。
(経済的措置)
第24条 市は、市民及び事業者が環境への負荷の低減を図るために行う施設の整備、研究開発、その他これらに類する活動を促進するため、特に必要があるときは、助成その他の措置を講じるものとする。
第5章 地球環境保全の推進
(地球環境の保全の推進)
第25条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護、酸性雨の調査等の地球環境保全に関する施策の推進に努めるものとする。
(地球環境保全に関する国際協力)
第26条 市は、国、他の地方公共団体、市民、事業者及び民間団体と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第6章 環境審議会
(設置)
第27条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため、笠間市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第28条 審議会は、次に掲げる事項に関し、市長の諮問に応じて調査審議する。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項
2 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第29条 審議会は、委員30人以内をもって組織する。
(委員)
第30条 審議会の委員は、次の各号に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 民間団体の役員
(2) 学識経験のある者
(3) 事業者
(4) 市議会の議員
(5) その他市長が適当と認める者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員が生じたときの補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
(会長及び副会長)
第31条 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第32条 審議会の会議は、会長が招集し、議長となる。
2 審議会の会議は、委員の半数以上の出席がなければ、開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(委員以外の者の出席等)
第33条 会長は、審議会運営上必要と認めた場合は、委員以外の者を会議に出席させ、意見を聴き、又は委員以外の者から資料の提出を求めることができる。
(庶務)
第34条 審議会の庶務は、環境推進部において処理する。
(令5条例2・一部改正)
第7章 補則
(委任)
第35条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成18年3月19日から施行する。
附則(令和5年条例第2号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。