○笠間市障がい者等の情報取得及びコミュニケーション環境の向上に関する条例

令和4年3月18日

条例第6号

人が社会の中で生活していくためには、必要な情報の取得やコミュニケーションは欠かせないものとなっている。しかしながら、地域社会においては、障がい等を理由に、必要な情報の取得や周囲の人たちとのコミュニケーションにおいて困難や不安を抱えている方がおり、これらの障壁を取り除くことは、重要な課題となっている。

平成18年の国連総会において採択された障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)では、合理的配慮の概念が盛り込まれるとともに、手話が独自の言語として位置付けられた。わが国では、この条約への署名を機に、平成23年には障害者基本法(昭和45年法律第84号)が改正されるなど障害者に対する様々な国内法の整備が推進され、平成26年にこの条約を批准した。また、本県においても、平成30年には茨城県手話言語の普及の促進に関する条例が制定されるなど、障がい者を取り巻く環境は大きく変化してきている。

このような状況のもと、本市では、手話が言語であることや社会における多様なコミュニケーション手段の必要性を認識したうえで、障がい者の情報の取得やコミュニケーション環境の向上に取り組み、障がい者が住み慣れた地域で、自分らしくいきいきと安心して暮らすことができる共生社会の実現を目指していくものである。

(目的)

第1条 この条例は、障がい者がその特性に応じ容易に情報を取得できるとともに、多様なコミュニケーション手段の選択及び利用の機会が確保される環境を向上させるため、基本理念を定めるとともに、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる共生社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 障がい者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障がいがある者であって、障がい及び社会的障壁(障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 多様なコミュニケーション手段 手話(視覚的に表現される独自の文法形態を持つ言語)、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読その他日常生活又は社会参加を行う場合に必要とされる補助的かつ代替的な手段としての情報及びコミュニケーション支援用具等をいう。

(3) 市民 市内に住所を有する者又は市内に通勤し、若しくは通学する者をいう。

(4) 事業者 営利又は非営利の別にかかわらず、市内において事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。

(5) 合理的配慮 障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

(基本理念)

第3条 障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる共生社会を実現するため、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重することを基本として行わなければならない。

2 合理的配慮の提供は、障がいの有無にかかわらず、相互にとって必要であるとの理解を通じ、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念に基づき、障がい者等の情報取得及びコミュニケーション環境の向上に関する施策を実施するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、障がい者等の情報取得及びコミュニケーション環境の向上に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、障がい者等の情報取得及びコミュニケーション環境の向上に関する施策に協力するよう努めるとともに、障がい者等の情報取得及びコミュニケーション手段の選択と利用機会を確保するために必要かつ合理的配慮を行うよう努めなければならない。

(障がい特性の理解促進及び地域における合理的配慮の提供の促進)

第7条 市は、障がい特性の理解促進及び地域における合理的配慮の提供の促進のため、事業者その他関係機関と協力して、必要な施策を進めるものとする。

(多様な情報取得及びコミュニケーション手段の選択と利用機会の確保)

第8条 市は、多様な情報取得及びコミュニケーション手段の選択と利用機会の確保をするため、事業者その他関係機関と協力して、必要な施策を進めるものとする。

(災害時における情報取得及びコミュニケーション支援の充実)

第9条 市は、災害その他非常の事態が発生した場合に備え、関係機関と連携し、障がい者が情報を取得するための必要な体制を整備するものとする。

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

笠間市障がい者等の情報取得及びコミュニケーション環境の向上に関する条例

令和4年3月18日 条例第6号

(令和4年4月1日施行)