○笠間市消防本部指導救命士運用要綱

令和3年3月31日

消防本部訓令第2号

(趣旨)

第1条 この要綱は、救急業務に携わる職員(救急救命士を含む救急業務に従事する消防吏員をいい、救急業務に兼務で従事する消防吏員を含む。以下「救急隊員」という。)に対する専門知識及び技術の向上に向けた教育内容の一層の充実を図り、救急業務全体の質を向上させることを目的として、指導救命士の運用に関する必要事項を定めるものとする。

(資格要件)

第2条 指導救命士は、指導するために必要となる医学的知識や処置経験を有するとともに、指導者、教育者としての能力が求められる。また、救急隊長としての豊富な現場経験やそれを通じて培った指揮能力、更には地域のメディカルコントロールを担う医師や関係機関との連携能力、地域社会等とのコミュニケーション能力を必要とするため以下の要件を全て満たし、茨城県救急業務高度化推進協議会から認定を受けた者とする。

(1) 救急救命士として、通算5年以上の実務経験を有する者

(2) 救急隊長として、通算5年以上の実務経験を有する者

(3) 通算で20件以上の特定行為の施行経験を有する者

(4) 次のの病院実習のいずれかを受けている者

 再教育に係る病院実習(通算で120時間以上)

 気管挿管の認定に係る病院実習

(5) 消防署内の現任教育、講習会等での教育指導、学会での発表等、教育指導や研究発表について豊富な経験を有する者

(6) 必要な養成教育を受けた者、又は一定の指導経験を有する者

 必要な養成教育を受けた者とは、国の定める「指導救命士養成カリキュラム」に準拠した研修を受けた者を指す。

 一定の指導経験を有する者とは、具体的には以下の者を指す。

(ア) 大学附属病院、救急救命士養成所、消防大学校、消防学校の教員として救急救命士等の指導、育成に1年間以上継続して従事した者

(イ) 救急ワークステーションにおいて、救急救命士等の指導、育成に1年間以上継続して従事した者

(ウ) 救急救命士に対する教育(一次検証や特定行為に係る技能講習での指導等)に3年以上、恒常的に従事しており、消防長が、(ア)(イ)の者と同等の指導力を有すると認めた者

(表示)

第3条 指導救命士は活動服(救急服を含む。)に茨城県救急業務高度化推進協議会から交付された腕章を着用するものとする。

(業務)

第4条 各項目のうち、重要度や緊急度等より判断し、必要と認められる内容を実施する。

(1) 救急隊員生涯教育に関する企画・運営

救急隊員生涯教育は、救急隊員を対象に救急業務に従事する期間中、生涯にわたって行われる教育をいい、OJT(On-The-Job Training)及び必要と認めるOff-JT(Off-The-Job Training)を合わせたものをいう。

 教育計画の策定、調整

達成目標を明確にした上で、年間計画を作成し、計画的な教育を行う。

 活動検証等の結果に基づく教育訓練の実施、研修会の開催

検証データから明確な改善目標を設定し、教育訓練内容を作成するとともに講義講習等の研修を実施し、救急隊員の能力向上に努める。

 調査、研究

救急業務における進歩を図り現場活動の発展に貢献する事を目的とした調査及び研究を行い、積極的に全国救急隊員シンポジウム等に参加し情報発信や課題収集を行う。

(2) 救急隊員への研修、指導

主にOJT(On-The-Job Training)における救急隊員への指導(救急救命士再教育の指導を含む。)を行うものとする。

 救急車同乗指導

(ア) 年間を通じて定めた期間内に、3署救急隊(第1中隊、第2中隊)へ赴き救急隊員4人目として同乗、症例ごとに改善点等を出動隊員とともに考え、業務改善を図る。(点検内容、隊活動内容、医学的観点指導「病態生理の理解を深める等」、情報伝達、病院搬入後実習等)

(イ) 各隊の実情に合わせた同乗指導を行う。

(ウ) 救急車同乗指導としての出動は、原則として午前9時から午後3時までの間とする。

(エ) 各署の勤務人員には入れないものとする。

(オ) 出動は救急車のみとし、消防車両等での出動はしない。

(カ) 出動種別が転院搬送の場合は同乗しない。(帰署途上の出動は除く。)

(キ) 救急隊員4人目として同乗した際は同乗実習生と同じ扱いとする。よって救急隊活動の全責任は救急隊長とする。

(ク) 傷病者に不利益を及ぼしかねないと予測される活動判断・行為については積極的に進言し救急隊長と話し合い、適切な救急業務の遂行に努める。

(ケ) 処置については正規の救急隊の処置範囲とし、指導救命士の認定資格を最上位としない。

(コ) 主に処置、活動を行う者は正規の救急隊とする。原則として指導救命士は処置、活動の補助、助言を行う。

 病院搬送後実習指導

(ア) 医師引継ぎ内容の検討を行う。

(イ) 救急隊の行った活動内容と医師の問診、観察内容との比較検討を行う。

(ウ) 処置(気管挿管、薬剤投与、静脈路確保等、新処置等)について検討を行う。

 傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準に基づく教育

(ア) 適切な観察、処置、評価について検討を行う。

(イ) 適切な医療機関選定についての検討を行う。

 シミュレーション訓練

出動しない時間帯を用いて、検証データの結果等をもとにシミュレーション訓練を実施し、スキルアップを図る。

 救急業務に携わる職員の生涯教育の指針に基づく教育

救急業務に携わる職員の生涯教育の指針を参考に研修、指導を行う。

 その他必要な教育

(3) 救急業務に関する事後検証の実施、フィードバック

 安全管理

インシデント、アクシデント等の検証を行う。

また、警防課と連携を密にし、再発防止策等を検討し組織全体で共有すべき内容の伝達、指導を行う。

更に、必要に応じて笠間市消防本部救急隊活動中に発生した事故等の対応を行う。

 処置範囲拡大症例及び重症症例

笠間市消防本部の水戸地区救急医療協議会事後検証部検証委員とともに、必要に応じて検証を行い、隊や本部内にフィードバックする。

 病院実習及び病院搬入後実習

警防課とともに必要に応じて検証を行い、隊や本部内にフィードバックする。

 救急資器材

新規資器材の取扱い方法や、資器材に問題が発生した場合、警防課とともに検証する。

 その他検証が必要な内容

(4) その他の業務

 運用方法の確認、修正

(1)から(3)が適切な方法で運用されているか確認を行い、必要があればその都度修正を行う。

 指導内容の確認、修正、統一化

結果報告等の内容から適切な指導が実施されているか確認し、必要があれば指導内容の修正、統一化を図る。

 笠間市消防本部救急救命士教育等への協力

(1)から(3)において、教育に活かすべき内容が認められた場合は、教育内容等の助言、指導を行う。

 水戸地区救急医療協議会に関する業務及び会議、運用試験等への参加

警防課と連携を密にし、水戸地区救急医療協議会に関する業務等への参加及び協力、検証に係る会議、運用試験等への参加を行う。

 その他必要と認められる業務

(会議)

第5条 議事がある場合は、指導救命士会議を開催する。

2 会議の事務局は警防課とする。

(報告)

第6条 年次報告

指導救命士は、計画を基に実施した業務内容について、年度ごとに警防課長へ報告する。

2 月次報告

(1) 指導救命士による報告

救急隊とともに行った内容(検討内容、改善点、シミュレーション内容、病態生理等)について、救急隊ごとに結果報告を様式第1号により警防課長へ報告する。

また、共有フォルダに掲載する等、全救急隊と情報共有を図る。

(2) 救急隊員による報告

実施した教育等の内容について、様式第2号により警防課長へ報告する。

(検証)

第7条 警防課長は、業務に対する透明性及び信頼性の確保、納得性の向上を図り、救急業務全体の質を向上させるため、目標の達成状況及び取組実績、課題や妥当性について総合的に検証する。

また、結果について必要と認められる場合は、消防長に報告する。

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

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笠間市消防本部指導救命士運用要綱

令和3年3月31日 消防本部訓令第2号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第11編 防/第3章
沿革情報
令和3年3月31日 消防本部訓令第2号