○笠間市いじめ防止対策推進条例

令和3年3月18日

条例第21号

(目的)

第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)及び茨城県いじめの根絶を目指す条例(令和元年茨城県条例第40号)の趣旨を踏まえ、いじめの防止等(いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し基本理念を定め、笠間市(以下「市」という。)及び笠間市教育委員会(以下「教育委員会」という。)、学校及び学校の教職員、児童等並びに保護者及び市民等の責務又は役割を明らかにするとともに、市の施策に関する基本的な事項を定め、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することにより、児童等が安心して生活し、健やかに成長できる環境を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)で、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(2) 学校 笠間市立学校の設置に関する条例(平成18年笠間市条例第180号)別表第1別表第2及び別表第3に規定する小学校、中学校及び義務教育学校をいう。

(3) 児童等 市内の学校に在籍する児童又は生徒をいう。

(4) 保護者 親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

(5) 市民等 市内に居住する者及び市内に事業所を有する個人又はその法人その他の団体で、事業を営むものをいう。

(6) 関係機関等 警察、児童相談所、医療機関、法務局等の人権擁護機関、その他の児童等のいじめに関係する機関及び団体をいう。

(基本理念)

第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが児童等の生命、心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであることに鑑み、全ての児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2 いじめの防止等のための対策は、児童等の生命及び心身を保護し、児童等をいじめから確実に守るとともに、全ての児童等がいじめを行わず、他の児童等に対して行われるいじめを認識しながら放置することがないよう、児童等のいじめに関する理解を深め、いじめの解決に向けて主体的に行動できるようにすることを旨として行われなければならない。

3 学校におけるいじめの防止等のための対策は、いじめの防止等に関する取組を実効的なものにするため、学校全体で組織的に取り組むことを旨として行われなければならない。

4 いじめの防止等のための対策は、市、教育委員会、学校、市民等、保護者、関係機関等の連携の下、社会全体でいじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

(いじめの禁止)

第4条 児童等は、いじめを行ってはならない。

(市及び教育委員会の責務)

第5条 市及び教育委員会は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を講じなければならない。

2 市及び教育委員会は、いじめの防止等の対策を推進するため、関係機関等と連携し、児童等の健全育成に係る事業の充実に努めなければならない。

3 市及び教育委員会は、いじめの防止等のための啓発活動を行い、市民等のいじめの防止等に関わる意識の高揚を図らなければならない。

4 市及び教育委員会は、学校に対し、第10条に規定する学校いじめ防止基本方針に基づく具体的な取組又は達成の状況を確認し、必要に応じて支援、助言又は指導を行わなければならない。

(学校及び校長その他の教職員の責務)

第6条 学校及び校長その他の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、市民等及び関係機関等との連携を図りつつ、児童等自らがいじめに関する問題を主体的かつ真剣に考えることができる環境を整える等、学校全体でいじめの未然防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切にこれに対処するものとする。

2 学校及び校長その他の教職員は、いじめを認識した場合又はいじめの疑いが認められる場合には、法第22条の規定に基づき設置される当該学校のいじめの防止等の対策のための組織を中心に、速やかに適切な措置を講じなければならない。

3 学校及び校長その他の教職員は、日頃から児童等の様子を細心の注意を払って把握するように努め、いじめの事実の発見に取り組まなければならない。

4 校長は、学校のいじめの防止等のための対策について、所属の教職員を監督し、基本理念にのっとり、いじめのない当該学校の運営が行われるよう努めなければならない。

(保護者の責務)

第7条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであることを自覚し、いじめが絶対に許されない行為であることをその保護する児童等に十分理解させ、当該児童等がいじめを行うことのないよう、必要な指導を行うよう努めなければならない。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、その保護する児童等の様子及び行動の変化に気を配り、いじめの事実又はその疑いがあったときは、学校、教育委員会又は市に連絡、相談するよう努めなければならない。

4 保護者は、市及び学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めなければならない。

(児童等の役割)

第8条 児童等は、いじめを行わないという意識を強く持たなければならない。

2 児童等は、互いに思いやり、共に支え合いながら、いじめのない学校生活を送ることができるよう努めるものとする。

3 児童等は、他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないように努めるものとする。

(市民等の役割)

第9条 市民等は、それぞれの地域において、児童等に対する見守り、声かけ等を行い、児童等が安心して心身ともに健全に過ごすことができる環境づくりに努めるものとする。

2 市民等は、いじめを発見した場合又はいじめの疑いがあると認められる場合には、学校、市又は関係機関等に情報を提供するよう努めるものとする。

(笠間市いじめ防止基本方針)

第10条 市は、法第12条の規定に基づき、本市の実情に応じたいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための笠間市いじめ防止基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針においては、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項

(2) いじめの防止等のための対策の内容に関する事項

(3) その他いじめの防止等のための対策に関する重要事項

3 市は、児童等を取り巻く社会状況等の変化に適切かつ迅速に対応するため、いじめの防止等のための対策に関する評価を踏まえ、定期的に基本方針を検証し、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

4 市は、基本方針の見直しに当たっては、第18条に規定する笠間市いじめ問題対策連絡協議会の意見を聴くものとする。

5 市は、基本方針を定め、又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。

(学校いじめ防止基本方針)

第11条 学校は、法第13条の規定に基づき、茨城県いじめ基本方針及び笠間市いじめ基本方針を参酌し、当該学校の実情に応じたいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための学校いじめ防止基本方針を定めるものとし、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

2 学校は、学校いじめ防止基本方針を定め、又は変更したときは、速やかにこれを公表するとともに、保護者及び市民等の理解及び協力を得られるよう努めるものとする。

(いじめの未然防止のための施策)

第12条 市及び教育委員会は、基本理念にのっとり、いじめを未然に防止するためには、児童等の良好な人間関係づくりが不可欠であることを踏まえ、次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) 命と心の大切さ・尊さについて学ぶ機会を提供すること。

(2) 学校が行ういじめを未然に防止するための対策を支援すること。

(3) 学校、保護者、市民等及び関係機関等と連携することにより、いじめを未然に防止するための対策を講ずること。

(4) 第18条に規定する笠間市いじめ問題対策連絡協議会を定期的に開催すること。

2 学校は、在籍する児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の素地を養うことが、いじめの未然防止に資することを踏まえ、次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) 全ての教育活動を通じて道徳教育、人権教育、体験活動及び生徒指導の充実を図ること。

(2) いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、校内にいじめの防止等の対策のための組織を設置すること。

(3) 児童等の保護者及び市民等と連携して、いじめの防止等に関する活動を実施すること。

(いじめの早期発見のための施策)

第13条 市及び教育委員会は、いじめを早期に発見するため、次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) 学校、保護者、市民等及び関係機関等と連携して、いじめに関する情報収集を行い、その実態を的確に把握するよう努めるとともに、発見したいじめに対しては、迅速かつ適切な措置を講ずること。

(2) 児童等、保護者及び学校の教職員等がいじめに関する相談又は通報を安心して行うことができるよう、相談体制の整備及び充実を図ること。

(3) 学校に対し、必要に応じ支援、助言又は指導をすること。

2 学校は、いじめを早期に発見するため、次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) 在籍する児童等に対する定期的な調査その他の措置を講ずること。

(2) 市、教育委員会、保護者、市民等及び関係機関等と連携して、いじめに関する必要な体制を整備すること。

(3) 児童等及びその保護者並びに教職員に対し、積極的にいじめに関する相談又は通報する機会を提供すること。

(いじめへの対処のための施策)

第14条 学校は、いじめの事実を確認したときは、直ちに次に掲げる事項を行わなければならない。

(1) いじめを受けた児童等及びいじめを知らせた児童等の安全を確保するとともに、いじめを行った児童等に適切な指導をすること。

(2) いじめに関して必要な情報を収集し、教育委員会に報告するとともに、いじめを受けた児童等及びその保護者並びにいじめを行った児童等及びその保護者に対し、それぞれが健全に成長することができるよう適切に対処すること。

(3) いじめを受けた児童等が安心して生活できるよう、必要な措置を講ずること。

2 教育委員会は、いじめの事実の報告を受けたときは、直ちに次に掲げる事項を行うものとする。

(1) いじめに関して当該学校に必要な支援を行い、適切に指示すること。

(2) 法第26条の規定に基づき、いじめを行った児童等の保護者に対し、必要に応じて当該児童等の出席停止を命ずる等の必要な措置を講ずること。

(3) いじめの報告に係る事案について自ら必要な調査を行うこと。

(学校の教職員の資質の向上)

第15条 市及び教育委員会は、いじめの防止等のための対策が専門的知識に基づき、適切かつ効果的に行われるよう、教職員に対する研修の充実を図り、その資質の向上に努めるものとする。

(いじめの防止等に係る情報提供及び啓発)

第16条 市及び教育委員会は、児童等が互いに尊重し合い、いじめの防止等に向けて主体的に行動することができるよう、児童等及び保護者に対し、いじめに係る相談又は通報の方法その他必要な情報を提供するとともに、いじめの防止等に係る啓発を行うものとする。

(インターネットを通じて行われるいじめの防止等)

第17条 市及び教育委員会は、スマートフォンやタブレットその他携帯電話端末等により、ソーシャルネットワーキングサービスその他インターネットを通じて行われるいじめの防止等を図るため、学校その他関係機関等と連携し、必要な措置を講ずるものとする。

(笠間市いじめ問題対策連絡協議会)

第18条 法第14条第1項の規定に基づき、関係機関等との連携強化を図るため、教育委員会に笠間市いじめ問題対策連絡協議会(以下「市いじめ問題対策連絡協議会」という。)を置く。

2 市いじめ問題対策連絡協議会は、次に掲げる事項を行う。

(1) いじめの防止等に関する関係機関等との連携に関する事項

(2) 市が実施するいじめの防止等に関する施策の推進及び啓発に関する事項

(3) 基本方針に基づく施策の点検及び見直しに係る意見聴取

(4) 市が実施するいじめの防止等に関する施策に対する助言

(5) その他いじめの防止等のための対策の推進に必要な事項

3 前2項に定めるもののほか、市いじめ問題対策連絡協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会が規則で定める。

(笠間市いじめ調査委員会)

第19条 教育委員会は、法第14条第3項の規定に基づき、基本方針に基づくいじめの防止等のための対策を実効的に行うため、附属機関として笠間市いじめ調査委員会(以下「市いじめ調査委員会」という。)を置く。

2 市いじめ調査委員会は、教育委員会の諮問に応じて、次に掲げる事項を行う。

(1) いじめの事案に関する調査(次号の調査を除く調査で市いじめ調査委員会が調査する必要があると教育委員会が認めるものに限る。)

(2) 法第28条第1項に規定する重大事態(以下「重大事態」という。)に関する調査

(3) いじめの防止等の対策について必要と認める事項

3 前2項に定めるもののほか、市いじめ調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会が規則で定める。

(笠間市いじめ再調査委員会)

第20条 笠間市長(以下「市長」という。)は、法第30条第2項に規定する調査を行うときは、附属機関として笠間市いじめ再調査委員会(以下「市いじめ再調査委員会」という。)を設置する。

2 市いじめ再調査委員会は、市長の諮問に応じ、法第28条第1項に規定する調査の結果について調査を行う。

3 市いじめ再調査委員会の委員は、調査対象となる事案の関係者及び市いじめ調査委員会の委員と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者に限るものとする。

4 前3項に定めるもののほか、市いじめ再調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

(重大事態への対応)

第21条 学校は、重大事態が発生したときは、いじめの防止等の対策のための組織による調査を行うとともに、当該重大事態が発生した旨を、教育委員会を経由して直ちに市長に報告しなければならない。

2 教育委員会は、前項に規定する報告を受けたときは、法第28条第1項の規定により、必要な場合は市いじめ調査委員会に速やかに調査させるものとする。

3 教育委員会は、法第28条第1項に規定する調査の結果について報告を受けたときは、直ちにその結果を市長に報告するものとする。

(再調査の実施)

第22条 市長は、法第30条第1項の規定により受けた報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、同条第2項の規定により、法第28条第1項に規定する調査の結果について、市いじめ再調査委員会において調査するものとする。

2 市長は、市いじめ再調査委員会における調査の結果について報告を受けたときは、直ちに教育委員会にその結果を報告するとともに、法第30条第3項の規定により、その結果を議会に報告するものとする。

(再発防止のための措置)

第23条 市長及び教育委員会は、第21条第3項又は前条第2項に規定する報告を受けたときは、相互に連携し、当該報告に係る調査事案への対処及び当該調査事案と同種の事案の再発の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(個人情報の取扱い)

第24条 市は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定により、この条例の施行に当たって知り得た個人情報を保護し、及び適正に取り扱わなければならない。

2 いじめに関する通報、相談等に関係した者は、正当な理由なく、その知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。

(令5条例9・一部改正)

(市長及び教育委員会の連携)

第25条 市長及び教育委員会は、いじめの防止等のための対策を連携して推進するため、いじめに関する情報を共有し、積極的に連絡調整を行うものとする。

(委任)

第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長又は教育委員会が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

(笠間市の特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 笠間市の特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年笠間市条例第39号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和5年条例第9号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

笠間市いじめ防止対策推進条例

令和3年3月18日 条例第21号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第12編 育/第2章 学校教育
沿革情報
令和3年3月18日 条例第21号
令和5年3月17日 条例第9号