まちづくり

研究報告書

21世紀における高齢者活用の新たな可能性-笠間市への地域専門アドバイザー制の提言-

2009年早稲田大学大学院(公共経営研究科)後藤克彦((株)日経リサーチ客員、立教大学大学院客員教授)からの依頼で、笠間市の高齢者の地域貢献への関心状況や参加状況、経験や意向を確認し、地域貢献に対するアンケートを実施しました。
このアンケート結果から地域貢献に参加するための阻害要因を明らかにし、地域専門アドバイザー制導入のための提言を論文としてまとめたものです。

はじめに

  • 21世紀の高齢者活用の課題-高齢者自身の社会的役割を持った自立が必要。
  • 国が提唱する高齢者の自立は「経済的自立」が中心。公共に役立つ社会貢献活動は「精神的自立」という側面があり、高齢者の「生きがい」に連繋。
  • 高齢者が精神的自立から「生きがい」を感じるには、これまでの「経験」や「知識」を活かせる場面の提供が急務。
  • 21世紀の高齢者活用として、高齢者の「経験」と「知識」を公共サービスに役立たせることを目的とした「地域専門アドバイザー制」の導入を提唱。

高齢者のイメージ(定義)

  • 確固たる高齢者の定義はない。
    内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」結果から、高齢者から見た高齢者とは、「70歳以上」というのが8割。
  • 白書にみる高齢者への対応
    1969年「高齢化社会は遠い世界」と思われており、その対策などはあまり必要性を感じていない。
    1970~994年「高齢化社会」豊かな財政のもと社会保障を中心とした明るい展望が伺える。
    1995~2006年「高齢社会」高齢者保護の観点から少しずつ経済的自立を促がすメッセージに転換。
    2007年~「超高齢社会」より強く経済的自立の必要性を説いている。

高齢者自立に向けての国・地方自治体の政策

  • 高齢者社会対策基本法(1995年施行)の高齢社会対策大綱では、こころの豊かさや生きがいのために高齢者の社会参加活動を推奨。
  • これを受けて地方自治体は高齢者の社会参加支援策を展開。
  • 内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する調査」結果によると、高齢者のグループ活動の参加はこの10年で顕著な伸び。
  • 現実には、高齢者の生きがいに繋がる政策はほとんどない。
    高齢者の経験と知識を持つ地域専門アドバイザーによるまちづくり
  • 高齢者による地域専門アドバイザーとは、「経験」と「知識」があり、いろいろな分野における専門性を活かせる高齢者の集団であり、高齢者による地域活性化の推進役。より専門性を活かせるアドバイザーとしての役割を持たせることが必要。

笠間市におけるシニア・高齢者の社会貢献に関する意識調査の概要

  • 調査のねらい
    (1) 笠間市に居住する高齢者の地域貢献への関心状況や参加状況を確認。
    (2)同市高齢者の経験や意向を確認し、地域貢献の可能領域を設定。
    (3)地域貢献に参加するための阻害要因を明らかにし地域専門アドバイザー制導入のための対策案を検討。

  • 調査の概要
    母集団は、笠間市の55歳以上75歳までの一般個人男女1000人。有効回答数506件(50.6%)
    「男性」「女性」ほぼ半々。年齢では「55歳から59歳」が24.9%、「60歳から64歳」が27.3%、 「65歳から69歳」が25.1%、「70歳から75歳」が20.9%。

  • 街おこしや街づくりなど地域貢献への参加・関心の状況
    「すでに活動に参加している」のは、約6人に1人。
    その内容は、「歴史・文化・芸術の発掘、伝承など」が3割弱と高い。
    「これから参加しようと考えている」のは全体の1割弱。
    その内容は、「特産品作りの支援」、「歴史・文化・芸術の発掘、伝承など」が2割強。
    「関心はあるがきっかけや参加の仕方がわからない」は全体の3割弱。
    その内容では、「特産品作りの支援」、「歴史・文化・芸術の発掘、伝承など」が2割前後。
    地域貢献活動の開始年齢と終了年齢では、60歳前半から70歳前半の10年が最も地域貢献活動に積極的になる年代。
    地域貢献活動に関心がわかないのは全体の約3分の1で、「仕事や家事など家庭の事情」「健康や体力に自信がない」いずれもやむを得ず参加できないという理由が主流。

  • 地域貢献への参加・関心分野と他の地域に誇れる地域資源
    「笠間市が誇れるもの」は、笠間焼きや陶芸美術館、陶炎祭り(ひまつり)などや、栗・菊など観光資源を中心に地域を活性化する支援をしたいという意気込みが強い。
  • 経験してきた仕事とアドバイスできる分野
    調査したアドバイス分野の「自信をもってアドバイスできる」人を算出すると延べ179人。
    自信はないが「簡単なアドバイスであれば可能」というアドバイザーの潜在的な人たちは延べ552人。
  • 自分の知識、経験を地域貢献活動に活かせると思う事象(自由回答から)
    料理分野や刺繍、和裁洋裁、結婚相談、外国語観光ガイドなど趣味や関心分野が多い。
    専門性はないが自身の空いた時間に高齢者や子どもとのコミュニケーションがとれるものや地域の安心・安全のための活動。
  • 調査結果のまとめ
    高齢者が活動を希望する内容と方向は、「歴史、文化、芸術、観光、農業、園芸、介護、リハビリ」等。どの分野における活動の活性化を目標とするかについては、地域自体の発展方向との合致が必要。
    具体的に笠間市に期待するのは、それぞれの分野において高齢者が「自信をもってアドバイスできる」人材となりうる制度・プログラムの提示と運用。
    高齢者の「精神的自立」として考えられる笠間市の高齢者による社会貢献活動への意識の高さが、高齢者活用の新たな可能性を引き出す。

笠間市の地域専門アドバイザーの推進-「高齢者は社会の資産である」という言葉を十分に活かした社会づくりを目指して-

  • 課題解決に向けて
    調査では発見できなかったアドバイザーの人たち、同様に出現しなったアドバイザー分野の発掘。
  • 行政に必要な機能
    公共サービスの中で高齢者の専門性を活用できる分野を洗い出す機能。
    専門性を持つ高齢者の募集・告知活動の機能。
    高齢者を活用した実例の有効性の検証を市当局側と従事した高齢者からヒヤリングを行う機能。

おわりに

  • 社会貢献という「精神的自立」では、高齢者の多彩な知恵が活かされ、役立ち求められる存在。高齢者が「経験」と「知識」を発揮できる公共への手助けとしての貢献活動を推進する地域専門アドバイザー制は、今後の高齢社会を持続可能にする役割を担う。
  • 高齢者による地域専門アドバイザー制は、高齢者にとって生活のひとつの選択肢として地方自治体にとって新たな高齢者活用の可能性がある。
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問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは市民活動課です。

〒309-1792 笠間市中央三丁目2番1号

電話番号:0296-77-1101 ファックス番号:0296-77-1390

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